2011
12.04

イヌの散歩でとおりかかる道であります。
大きな通りから、この小道に折れると、きまって同じことを思い出してしまうのであります。

まず、あるお女性がホテルの鏡に向かってメイクしているのです。私メがのぞこうとすると、「見ないで」と笑うのです。
「どうして?」
と問いかけますと、
「みっともないでしょう?」
と答えるのであります。

たったそれだけの想い出であります。
それだけの記憶が、この通りにさしかかると、はじめから思い出されるのであります。

「見ないで」「どうして?」「みっともないでしょう」
お女性は下着姿です。鏡に上半身をのばしてアイラインを入れているのであります。整形のおっぱいがブラからはちきれています。

「どうして?」
「みっともないでしょう」と、アイライン。想い出は繰り返すのであります。

前後のことは思い出せません。
思い出したようでも、よく考えると私メの創作だと気づきます。

西日暮里の暗いホテル。鳥かごのように揺れるエレベーター。カビ臭い部屋。
そこまでは思い出すのですが、いつのことだったのか、夏なのか秋なのかも分かりませんです。

私メは濡れたベッドに腰かけているのでありました。
欲望を果たし終えた虚脱状態なのでありました。

もしもラブホに一人でいたら、ホラーですね。
そのお女性はじつは亡霊だったりして。

「見ないで」
「どうして?」
「みっともないでしょう」とアイライン。はちきれそうなオッパイ。

ちかごろは、ひゃっくりするように思いだされる、その記憶の楽しみのために、この通りを大切にしているのであります。

「みないで」「みっともないでしょう」「みないで」「みっともないでしょう」「みないで」「みっともないでしょう」「みないで」「みっともないでしょう」「みっもないでしょう」「みっともないでしょう」………。

源氏物語の六条の御息所の怨霊。
近々ロードショーとなる「源氏物語」。
ちと、そそられるものがございますです。

  1. 何かの瞬間の、印象的な景色や台詞が浮かぶことってあります。
    その部分だけ、切り取られたみたいに。

    少し前に、アニメの源氏物語にハマりました。
    「いけませぬ…」
    「ああ…っ」
    なーんて、そんな濡れ場ばっかりのアニメを、一人夜中にコソコソみて、
    中学生の時に、親に隠れて11PMみている気分でした。

    ●十傳より→いまに残っている源氏物語は、前田藩保存のヤツですから、ほかにも別のストーリーの源氏物語があるかもでありますですね。でもマンガじゃないと…マンガでもよく分かりませんですよね。眠くなるばかりでして。

  2. あの可愛かった?諸星クンが 土曜日
    ・・・ジモ・ショッピングセンターに来たんです!

    ご近所 ママ友らと 「そら急げ~っ」ってんで
    3人(内、既におばあちゃん1人)+孫1人と見てきました~

    諸星クン 光GENJI時代には まさか こんな下町の
    外れのショッピングモールで歌うなんて 夢にも
    思わなかったでしょうね 「人生の帳尻は合うもの」
    なのでしょうか。。

    スマップみたく ずーっと出てるのもアレですが
    フォーリーブスの 再結成は 是非見たかったです
    (キレイな少年らが・・Youーtubeで見れますが・・)
    一度消えたのが ン十年後に出るのって やはり怖いもの見たさ?

    ●十傳より→いつだったか、会津のロール鉄道に乗っていましたら、中吊り広告に「岩崎よしみ、○☓小学校体育館にて大コンサート」とかありました。悲哀を感じましたです。「タッチ」も歌ったんだべなぁ…。その笑顔が悲しいのであります。諸星も同様でありましょう。観客は懐かしみつつも「死ね、死ね、なんで死なないの」なんて悲しく思っていたことでありましょう。

  3. 先生は、こういう感じのものを書くと、ぶるって鳥肌がたつくらいの才能をだしますよね。鬼才っていうんでしょうね。すこし嫉妬しちゃいます。

    ●十傳より→こういうもの、お好きみたいですね。

  4. 「見ないで、みっともないでしょ?」
    和訳すると、
    「もっと良く見て、そして褒めちぎって!」
    となるかと考えますです。

    ●十傳より→果てた後は、褒め言葉もなかなか出ないものでありまして…。