05.20
雑花といういい方にムッとされたでしょうか。
雑草といういい方は自然に受け入れられるけれど、花となると「雑」の文字は不適切と考えるお方もいるかもしれませぬ。
亡父がいぜん趣味の写真の個展を開くとき、それは高山植物の写真だったのですが、「いいタイトルはねべか」と尋ねられたことがございますです。
「草原の雑花たち」を提案し、そのままタイトルにしましたところ、たくさんのお客様がいらしたのでありました。
東北の方々は「オラたちは雑草だ」というような独特なプライドをもっていて、それがタイトルとかみ合ったのかもしれませんです。
家の周囲には、このような名もない、いや名を知りたくない雑花たちが咲き乱れております。
昭和の歌姫のようであります。
かつてはスターと呼ばれる歌い手は、雑花のような不幸をただよわせていなければなりませんでした。
幸せであってはならないという不文律があったような気がいたしますです。
が、現在はきらびやかで優雅な雰囲気のある歌い手がもてはやされておりますですね。
まぁ、どちらでも男たちはスポットライトを浴びるその姿に、つかの間のときめきを湧かすのでありますが、焼き鳥屋のネェちゃんも嫌いではありませぬ。
いいえ、雑女……おっととと。しかしそういうお女性と親しくなることに胸を熱くするのも事実でございますです。
「わたしのことなんて本気で愛してくれる男なんていないのよ」
と言い捨てる、すさんだ雰囲気のお女性に美を見つけたりいたしますです。
むろん好みもありますから、すべての雑女…いやいやお女性を好きになることはありませぬが、泥の花といわれる蓮に見えることもあるのであります。
男だって、ほとんど雑男なのでありますから。
不思議なのは、ならば雑恋になるはずなのに、そうはならずに、味のある関係を咲かせたりいたします。
そしてだんだんには「オレにはおまえしかいないようだ」と心を決めていくのであります。
心はきめても、ほかにも美しい雑花たちがたくさんありますから、目移り困ってしまいますけれどね。
泥酔してぶっ倒れた道ばたに、雨に汚れながら咲く雑花をみとめたときは、「ああ、オレはこのままじゃいけないよな」と心が洗われたこともありました。
「…大丈夫？」
としゃがれた声で近寄ってくれたお女性に瞬間的に恋をしたこともありました。
てなことを言いながら、
「おいおい、結局は、薔薇の花かよ」
なのでしょうか。
でも、これも雑男の偽らざる本音なのであります。
だますつもりは全然ないのに、なぜか雑花を捨ててしまうことになりやすい原発を男は隠しもっているようであります。
薔薇と雑花。
どちらも美しいのですけれど、大切にするかどうかと聞かれれば、
「薔薇だよ」と答えるのか「薔薇よりお前だよ」と言われるのか、男心のやさしさで、お女性はいつも惑わされるのでございますです。
薔薇さんのお好みに合う大量の肥料、大きく咲かせるための摘蕾という犠牲、病気や虫に弱いから常に見守り手がける。そのぶん咲いた時の美しさも、よろこびもひとしおです。
薔薇にはなれないからこそ惹かれ、それを手に入れて愛でたいのです。
それにしても、先生に撮られたお花たちは皆それぞれの色気を放って、しあわせそうですね。
●十傳より→花たちは咲きながら、やはり競い合ってるのでしょうねぇ。競い勝った花を写してしまったのかもしれません。
会員さんから質問でした。
ーー太陽に月が重なる時の最大が、食が最大になったときでしょうか？願い事は、幾つまで、OKでしょうか？ーー
というものであります。
会員メールで「明朝の金冠日食で、食が最大になったときに、願い事をすれば叶うかも」を送り、それについてのご質問であります。
でも、これはチマタの一説なので、詳しいことは私メにも分かりませんです。
ただ太陽と月が完全に合したときが、食の最大であることは確かでありましょう。
以上でありますです。
小野十傳からでありました。
十傳先生こんばんは。
私の理想ですが薔薇の様な気品があり雑花の様に可憐でいたいです。
●十傳より→落ちぶれ華族ってとこでありますね。それなら私メもやっとこさ手が届きますです。
亡くなったお父様の血を、しっかり受け継いでいらっしゃるのですね。
とても繊細な方だったのではないでしょうか。
今ある命がリアルに感じられる、十傳先生のお花の写真が好きです。
まるで女性を愛でるような視線を抜きにしたとしても…デス。
花たちの、そこに咲く誇りと、生きるよろこびが伝わってくるようで。
それから”恥ずかしさ”も。
花たちは、撮られている(観られている？)ことをわかっているのでしょうか…。
●十傳より→いちばん恥ずかしそうなお花にカメラを向けているのかもしれませんですね。