2012
06.21

冷凍庫に、お餅があったのでありますです。

昨年の暮れに、郷里の老母が送ってくれたものでした。
そして、牛蒡の切れはしも冷蔵庫からみつかりました。

心は、真冬に戻ったのであります。

「ああ、お雑煮を食いたい」
と思ったときには、牛蒡を削いでいたのでありました。

胃袋の隅々までしみいる美味さなのでした。
鶏肉の出汁が濃厚にきいてございます。

まだまだ足りず、トースターで餅を焼いて、お代わりを。

夏至のお雑煮も悪くありませぬ。

熱い食いモノが美味く感じるときは、どこか心が痛んでいるものであります。
人生すべて、なにもかも面倒臭くはなっていますが、これといって傷ついているとはおもえませぬ。
むしろ、誰かを傷つけているような気がしなくもないのです。

郷里の屋敷にぽつんとすわって夕餉をとっている老母をおもうのでありました。
きっと家の中は電気を薄暗くつけているのでありましょう。
線香の香りでみたされていることでありましょう。

「もう帰るの? お母さんがそんなにだいじ?」
なんて声が過去から聞こえてまいります。

「どーかなぁ」
とあいまいに笑った私メの声もまじっています。

二杯目のお雑煮を、しみじみと味わうのでありました。

  1. 十傳先生こんばんは。

    お雑煮ですか?美味しいですよね。
    味付けや入れる具もそれぞれで……故郷の味でしょうか。

    お母様ご健在でちょっぴり羨ましいです。

    ●十傳より→お女性はトカゲの尻尾的ですが、母親は替えがききませんですしね。ああ、餅だけモリオカです。名古屋以北ですから四角い切り餅であります。

  2. 実は私、
    夫の母つまり姑が大好きなんです。
    賢くて余計なことは喋らず、言葉や言い方は強いけど結局いつも優しくて…。
    たくさんのことを教えてもらいました。
    とても尊敬してます。

    お義母さんが悲しむから離婚しないでいたと言っても、過言じゃないかも。

    お母さんがだいじ
    それでいいですよねぇ。

    私の夫は、もう少しお義母さんに優しくしてあげてほしいです。
    お雑煮みたいに温かく接してあげてほしいな。
    なんて。

    ●十傳より→男はマザコンという差別用語を気にしていますが、心では優しく接したいのでありますよ。そして死なれてから後悔するのであります。

  3. 世の中ではいろんな事件が起こっていますが、この頃は「老いた親御さんを悲しませるような事をしたらだめだよ」と画面を見て呟くようになりました。私は里親とは断絶しているし、生家では私なんぞとうの昔に蓋をしてしまった存在です。逃走を続けた「容疑者」である我が子が姿を現した時、「生きていたの?死んだと思っていた」と話したお母様が何人かおられました。娑婆に戻ってこられるのか解らないような大罪をしでかした子をそれでも親御さんは見守るのでしょう。究極の愛を思い知るのであります…

      ●十傳より→親は世界一、迷惑な存在でもあるわけで、子供の頃は、親のいない友達を羨んだモノでありましたが。元気なときは独裁者ですから。

  4. これが、一緒にいると駄目ですね! 
    離れてるからこそ思いやりがもて気にかけられて優しくできる。
    実も義理も。親切にしずぎて老後(すでに)をあてにされても困るので、やはり距離は必要かと。

    ●十傳より→同感であります。思いやりの分だけ意地悪になるのであります。ところで親が病気で苦しんだとして、看病するのが愛なのか、それとも苦しんでいる顔を見たくなくて海外に逃げるのが愛なのか。考えると暇つぶしになりますです。

  5. 美味しそうな雑煮ですね。

    うちの雑煮は、するめと昆布を一晩寝かしてだしをとります。

    ごぼう、にんじん、大根、里芋、など入ります。
    関東のおすまし雑煮とは大違いの、田舎雑煮でございます。

      ●十傳より→お餅は九州では、やはり丸いんでしょうね。

    • お月さんのように、まんまるです。

      ●十傳より→東北のお餅は、蕎麦のように、つきあげたヤツを棒でのして、直径1メートル、厚さ5センチくらいにするのであります。それをカチカチになる前に、庖丁で切り分け、くっつかないように粉をつけて保存するわけであります。