09.30
速度が問題なのだ、人生の絶対量は決まっている気がする…という名言をのこして、鈴木いずみが自殺してから、何年になるのでありましょうか。
「オノさん、彼女が生きてたら、絶対に惚れるな」
と、鈴木いずみの写真集をベッドの上で広げて見せながら、お女性がニタリとしたのも、そうとうに昔の話でありますです。
お女性の部屋は乱雑でひろげた新聞紙のうえに、新聞紙がひろがり、うごくと振動でカサコソと落ち葉のような音をたてるのでありました。
「愛の絶対量もきまってるよね」
「ということだな」
「わたしたちの絶対量はどのくらいかな」
「さあな、どのくらいだろう」
ぐったりして指も動かせないほどの疲労感に沈没した私メのカラダに、おイタをしながら、お女性は「愛なんてないから、いいか…」とニタニタするのでございました。
しかし、やはり絶対量は存在したようでありました。
ある日を境に、ピタリと豪徳寺に足をのばしたことはないのでありますから。
そして、つい先ごろ、別のお女性から、
「言ってイイ?」と前置きして「乳癌らしいのよ」と告げられたのでありました。
「誰が?」
[わたし」
その、お女性とはただの飲み友達。
が、あと二年したら「ヤロウ!」と決めていたのでありました。
「約束、実現できないかもしれないよ」
つと、癌のあるというオッパイを触れてみました。服の上からでありますが。
やわらかなブラごしに、手のひらにずっしりと重みが感じられました。
そのお女性は、べつに嫌がりもせず、
「痛くないのよ、ほんとに癌かな。怖くもないんだよ」
「嘘つけ、怖くないことなんかあるものか」
「傷口を舐めてやるから大丈夫だ、気持ちいいぞ」
「なにが大丈夫なのよ」
「ちゃんと勃起するってこと」
お女性はバカじゃないの、と笑うのでありますが、口先だけより、勃起は重大であるのであります。
勃起こそ、愛の、それが濁情だとしても心の証明なのでございましょう。
愛の絶対量は、たしかに速度と関係ありますです。
早ければ、それだけ濁情は消費されますです。
が、何もせずにとっておいても、揮発して滅ぶようでございますです。
果実が腐敗するように。
カウンターの葡萄をひとつぶ口に含み、「乳首は残してほしいものだ」と思うのでした。
「武器よさらばだね」
お女性のいう武器は、女の武器か、男のアレか、夜のひかりをあつめて街はぼんやりと沈んでいるのであります。
いつになく水割りをかさねても酔いは、いっこうに回ってこない夜でありました。
私はこの方を知らないのですが、すごい名言ですね。
速度が問題、か…。なるほど、そうですね。
恋が終わって、それを時間が経ってから振り返ると、
自分がいかになんにも分かっていなかったか、少なからず学習するんです。
そして自分なりに分かってきたことに、多少は確信を持っていました。
でも、その「学習したこと」に、最近は自信を失いつつあります。
友達の、浮気されたとかメールが来ないとか、そんな悩み?を聞いて、
「そんなことでガタガタ言わない!」なんて思ってたんですよ。
「浮気って言うけど、人の心は自由じゃない?誰かに心惹かれることを止めることはできないでしょう?」って。
他の女を見るだけでもムカつく、なんて聞くと、「なんというワガママ」って鼻で笑ったり。
でもね、
そんなの全部、頭で考えたことなんですよね。模範解答なだけ。
たぶん、子宮(本能)はそうは思っていないんじゃないかなって…。
男は、勃起するかしないか。
それならば、女は、子宮がどう感じているかどうかが問題なのかなって。
もしかすると、なんにも分かっていなかった頃の私のほうが、
今よりずーっと、分かっていたのかも。
と言ってるうちに、台風が激しくなってきました。
先生も気をつけてくださいね。
●十傳より→男にメシ代を、すべて払わせておきつつ、男を愛とかで拘束できると言いたい気持ちも、濁情の消費を早めるようでありますです。「おごられないと私、ダメなんです」なんて真顔で言われたことがあり、音を立てて濁情が吹き飛んでいきましたですよ。
あんまり露骨だと、ねぇ…。引きますよね。
お互いに、相手にお金のことでストレスを感じさせないのは大事ですよね。男女というより、人として。
おごられないとダメってことはないけど、
個人的に、食べ物に弱いデス。
美味しいのとかお菓子とかもらうと、好きかも…って思う(笑)
●十傳より→ご馳走したくないというのではなくて、奢られたから愛されている、という感受性がひっかかるのでありますです。人それぞれでありましょうが。
あー、誤解を招く文ですみません。
逆です逆です。
好きかもって思うのは、お菓子をもらった私のほう。
「わー、お菓子もらっちゃった!いい人!好き!ついてく!」っていう単純な思考回路です。
餌付けされちゃうんです。
この人、私にお菓子をくれるなんて私のこと好きなのかも、っていう感じ方ではありません。
「奢られたから愛されている」っていうんじゃなく…。
相手がどんなにお金持ちでも、奢られてばかりでは心苦しいです。
人のお金だもの。
だから、次は私が出すね、とか、コンビニでの買い出し分を自分が出すとか、そういう適当な公平感があると気が楽です。
人それぞれでしょうけど。
●十傳より→30才を過ぎたら、いや40才を超えたら、その心遣いは不可欠に思いますです。とくに若い頃にチヤホヤされたお女性はお気をつけおそばせ。横断歩道で無神経に渡ろうとするお女性は、若い頃「レディーファースト」に慣れておるようでありますですが、もはや通用いたしませぬので。
何もせずにとっておいても、揮発して滅ぶよう・・・
所詮、その程度のあいの絶対量だったということ
いやいや、そういうことではなくて
揮発するのはLoveではなくてLikeでもなくて
単なる性的な欲求=ヤル気ではないかしら?
簡単に揮発するその思いを愛だとするのは
愛にたいしてややおこがましいのでは? と 思います。
個人的には
簡単に揮発して滅ぶような愛なんていーらない! です。
とはいえ、ヤル気が失せるのは困りますですね。
化物ではない(と思ってます)ですから、寿命というものがありますし
ノンビリしていてはいけないですね。
いずみさん、顔も身体も綺麗ですね。
女優さんかと思ったら、作家が本業だったのですね。
ご自分の人生の量を自分で判断して幕を閉じる・・・
自意識の強いかただったのでしょうね。
●十傳より→そういえば、店内には美しいフェイクの樹木が枯れもせずに飾られておりました。
先生こんにちは。
鈴木いずみさん、ご主人も薬を大量に飲んで亡くなってますよね?
娘さんが一人いらっしゃいましたね。
ホントに絶対量が決まっていたら嫌ですね。
●十傳より→自殺も感染するようでありますですね。「いちばん美しい死に方は何だろうか」だったかで始まる小説は「阿寒に果つ」でしたか。
鈴木いづみ…検索してしまいました。
「理屈はあとだ。みんな死ね」
「寝たい男と寝たい時に寝て何が悪い」
…カッコいい!
●十傳より→みんな心の中で思っていることをヒルまずに言うことがエロでありますですね。