2024
04.22

亡父の命日は5月に入ってからですが、4月22日の19年前だったかの今日が、最後に会った日であります。
命日は関東に行っていることだしと墓参りをすることにしました。

クルマをおいて境内に入ると…。
動くものが視野に入りました。
なんと、前方に野生のニホンカモシカがいるではありませんか。

さっと血の気が引きました。
カモシカくんも私メの存在に気づき、しばし視線を合わせました。

奈良のお方なら、公園にシカが放し飼いにされているので、さして珍しくもないかもしれません。
しかしですよ、モリオカの市内のど真ん中のお寺の境内に、忽然と現れておりますから、
「今日が、自分の命日になるのか…」
全身をカモシカの角によって血まみれにされる光景を想像し、服の上から、ここが刺されるのか、それともここが先かと、股間を抑えましたです。
だが、やられるだけでは済まないぞ、一矢報いてから絶命しよー!

するとカモシカ君は視線をはずし、木に身をこすりつけ、スタスタと歩き出し、こんどは鐘つき堂にのぼって行ったではありませんか。

境内には誰もおりません。
坊主に教えるべきか。
それとも警察に通報すべきか。

いやいや、チクるなどは日本人のやるよーな真似。
野球の大谷がホームランをしたと聞くとわいわい熱狂したふりをし、議員が汚職した聞くといっせいに騒ぎ立てる。危険なワクチンを我先にするよーな軽薄な日本人のよーであってはいけない。

だまってカモシカ君の行動を眺めることにしました。

昨日行った縄文遺跡から、時を越えて現れたよーなカモシカ君の出現ではないかと空想したりもしました。
それとも亡父のうつし身か。

しばらくしてカモシカ君は境内から、火葬場に向かう坂道をのぼって行ったのであります。
「気をつけろよ」

ずいぶんしてから、あれはあの世への招待だったりして…。