2013
12.18
逆行していた天王星が順行に戻った12月18日、奇妙なご縁で、カタール大使館のパーティに出席したのであります。
お金持ちの国という知識しかなく、地図でもどこにあるのか知らず、しかし画像のような料理に興味を覚え、氷雨の帝国ホテルへとタクシーをとばしたのでありました。
TVでしか見たことのない河童のようなデザイナーや、キャスターを務めたことのある女政治家や、どこだかの国王の妻という肩書のオババ殿たちが、大衆に混ざっているのでありました。
が、私メは慣れないスーツを着て、しかもパンツの脇から片方のふぐりが出てしまい、でもズボンの内側から手をつっこんで修正するわけにもいかず、それが気になって仕方ないのでありました。
と、「デザイナー?」という声に振り向くと美女がいるではありませぬか。
「ノー」
「ムービースター?(ほんとに言われたんですって)」
「ノー」
はみ出した片方のふぐりのことも忘れ、大使館夫人に見入るばかり。
「オー、サムライ!」
などと言われているうちに、美女は美女を呼び、あるいははみ出したふぐりが特殊なフェロモンをまき散らしたのであろうか…。
お女性たちが集まってくるではありませぬか。
ちと得意なひとときなのでありました。
「彼女、十傳さんに気があるわよ」
などと囁かれては、ハッスルポーズも致し方ありますまい。
いまだふぐりはパンツの裾からはみ出したまま、金玉がクサビの役目をして中にもどってくれないのであります。
いやいや、モテモテさを自慢したいがための画像ではけっしてありませぬ。
私メのネクタイを見てほしかったのでございますよ。
じつは私メは、冠婚葬祭用のネクタイしか所持していなかったことに前々日に気付いたのでありました。パーティはネクタイを着用のことが条件なのでありました。
で、
皮の切れ端を木工用ボンドで張り合わせて作ったのが、コレでございますです。
紐は首の後ろで結び、あとはシャツの襟で隠すという寸法。
赤い部分の虫食いみたいなやつは、なにしろ360円の切れ端の証明なのであります。
好意的な言い方をすれば斬新であります。
すくなくても人目を惹かずにはおれないシロモノでございましょう。
カタールのご婦人殿の目には麗しく映ったのやもしれませぬ。
ほーれ、裏は、このようにホッチキス止めという急ごしらえであります。
ふふふ、貧坊ちゃまのようなネクタイをして、ズボンの内部では片方の金玉が引っかかっていることなど誰にも気づかれずに、帝国ホテルを後にしたのでありました。
なかなかに楽しい宴でございました。
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2013
12.17
12月の部屋でひとり物思いに耽るのであります。
奇門遁甲の本を出してから色々な読者の方から色々な質問が寄せられましたです。
が、方位とは何でありましょう。
ここから思考を出発させることが大切であります。
たとえば、「青竜返首」という方位がございますです。
甲尊の方位で、出世などに効果があると記しました。
けれど、奇門遁甲があるから方位が存在するのではありませぬ。
人類が誕生する以前から方位現象があり、どこかの大天才が奇門遁甲を編み出したわけで、方位現象の中から「ほれほれ、今月の何日の東が青竜返首の出世の方位じゃ」と言えるのであります。
とすれば太古の昔に出世があったのでありましょうか。
出世という観念は、人間にのみ通用するいわば社会の状態であるはずであります。
ほかの動物に出世があるとは思えませぬ。
だとすれば他の動物に青竜返首を使わせればどーなるか。
おそらくボスから可愛がられるような行動をとるはずであります。
ボスから可愛がられれば、おのずと群れの中で地位が上がるのかもしれませぬ。
このように奇門遁甲から一歩離れ、方位現象とはなんだべやぁと考えてみるのも、奇門遁甲を理解し、そして自分の目的に合わせて使用する基本となるのでございますです。
そのむかし、私メは奇門遁甲のお勉強をしていたとき、あまりに夢中になりすぎて、それが五色に、つまりそれぞれの気の色に分かれて見えたことがございました。
狂気そのものであったのでございますです。
十傳スクールでは四月からの奇門遁甲の追加募集をすることに決意いたしました。
詳細は1月にUPいたします。
悪い方位を使った時の対処方法なども講義することになるでありましょう。
すでに夜間コースは奇門遁甲の作盤に突入し、「どう感動でしょう!」と、私メひとりが興奮しているのでございますです。
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2013
12.16
月はおぼろ。
満月前夜に届けられた発泡スチロールには、画像の如き毛ガニが数杯、鎮座しておりました。
お礼の電話をしましたところ、「冷凍じゃないからはやく食べて」とのこと。
目を金色に光らせて貪ることにシタしたのであります。
禁欲している私メではあるまいかと思うほど肉をためこんでいるのか、ずっしりと手に重たいのでございます。
甲羅をメリメリとあけましたら味噌がたっぷり。指について、舐めるとそこは北海道の荒波の逆巻く夜の漁船に乗り込んでいるかの錯覚におちいるのでありました。
「飲み屋のよう、女がよう」
とゴムガッバの荒くれ者の怒鳴り声も波しぶきと風でちぎれてとどきませぬ。
手は赤く凍みつき、しかし、あと六時間もすればアパートで女の太ももにあてがっているだろうと、それを心の救いに、甲板に転がった毛ガニをひとまとめに水槽にいれるのであります。
髪の毛も白く凍り、吐息も白く、ああ小便をしたいと尿意に耐えるのでありました。
ポルシェのボンネットからライトへとつづく、お女性のまさにふともものようなラインに似た毛ガニの脚。
身が重たく詰まっているのでございます。
切り離すたびに甲羅が指に痛く、それを我慢しながら切り分けるのも楽しいひと時であります。
色々迷いましたけれど、最終的には冷やの日本酒にすることに決断し、そしてカニ肉をすするとき、何故か過ぎ去りしお女性たちの名前をひとつひとつ上から下まで読み上げたい衝動に駆られるのでございました。
が、それも五人ほどで根気がつづかず、ベーゼとは異なる吸音を立てながら無心に白い身を口へと運ぶのみ。
一杯で満腹。
美味しすぎて何やら罪悪感すら覚える夜でありました。
もう月を眺める気持ちにもなれませぬ。
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