2019
10.18

蘭の花が事務所にいるのであります。

まるで、富豪の国のお姫様が、間違えて迷い込んだかのよーであります。
バラの花とか百合の花であれば、貧乏事務所にもお似合いかもしれませぬが、花にも生まれつき高貴な花があるものだと、島流しになった王に付き従って、かよーなところに流れ着いたのかと、はらはらと涙をこぼすばかりであります。

蘭さんよ、ここが、この事務所がどのよーな場所なのかご存じか?

土日ともなれば、全国から、異様な方々が方術を学びにくる巣窟なのですぞ。
生まれ落ちた日時や、サイコロの目によって運命をはかり、乱世の方位術を用いて、わが身を開運させる、おそろしき場所。

いわば、非常識な方法によって、この世の上位に這い上るための秘術を会得する魔の巣窟なのでございるよ。

あなたのような高貴なお花が住むよーな場所ではござりませぬ。

それとも、あなたは天使として、この場所に降臨したのでしょうか?
方術によって導かれ、我々にしやわせを与えるために、もしや月の世界から御くだりあそばれましたか。

なんとなく、そう思うと、明日から運勢に輝きが加わるような気がいたします。
明日から、幸運の扉がみつかりそーな気がいたします。

今宵は、野蛮な炭鉱主が、似つかわしくない華麗なお女性を得たように、酒を片手に鑑賞することにいたしますです。