2013
10.20
ちと、さるお方から師弟関係について問われまして、腕を組んで思い出していたのであります。
師弟とは、学校の教員と生徒の関係とはちと異なるのであります。
師は弟子を選べるし、弟子も師を選択できるからでございます。
そこにあるのは一種の恋愛関係に似た愛情と熱意が備わっていなければならないのであります。
私メが最初に選択した師は、激しく個性的なお方でありました。実占より理論家でありまして、運命学的な洗礼を受けたことは、いまでも血や肉になっております。その師匠をさる原因は、まことにつまらない出来事でありました。
夏の暑い午後のこと。私メは団扇であおぎながら講義を受けておりました。
すると、師匠から、
「その団扇はなんだ! 夕涼みしているのではないぞ」
と叱られたのであります。
そこでガラガラと崩れるものがございました。
信頼関係の崩壊を形として感じたのであります。
が、思い出しますと、その、しばらく前に「この師匠はダメなのでは…」
という疑いを持っていたのであります。
叱られたことは、ひとつのキッカケでございましょう。
こういう心情のうつろいは、まさに恋愛関係そのものではありませぬか。
また、もう一つ、弟子がある水準まで来ると、それまで以上の師匠を求めるものであります。
人情的なつながりを断ち切るキッカケを待っていることも否定できませぬ。
弟子はいずれ独り立ちして、師匠と対決するのも宿命でありましょう。
しかし、振り返ってみると、それぞれの師匠は、やはり素晴らしい人物であったことに気付くのでございます。共通しているのは、自分の処し方を、自分で決めていたことであります。学校の教員と生徒の関係や、勤め人の上司と部下の関係と決定的な違いは、ソコにあるのであります。
個性的でありますから、好きになるのも嫌いになるのも極端でございます。
しかし、やはり、信頼関係が歪んだならば、師弟という形は形骸化…いや毒にしかならないものでございますです。
後ろ足で泥をひっかけるようにして去った、多くの師匠にここに無礼のお詫びと感謝の念を追悼するものでございますです。
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2013
10.18
50年前のオリンピックのために首都高が東京に張り巡らされたのでありました。
美しい江戸の眺めは、その時点で消滅したのでございます。
アイノコキャスターが「オ・モ・テ・ナ・シ」の言葉にのせられ、そこここで、おもてなしと大騒ぎしておりますが、それよりもなんとか、この首都高を撤廃して欲しいのであります。
ドブ川になってしまったお濠を甦らせてほしいのであります。
首都高を地下にもぐらせれば、東京は世界に誇る美しい街になるでありましょう。
松江市は、お濠を暗渠とする計画を取りやめ、美しく整備し、いまでは舟で巡ることができますです。
経済発展、経済発展とお金のためのオリンピック誘致だったのだから、美の回復を望めないことは諦めておりますが、しかし、これでは行ったことはありませんが、そして行くこともないだろう下品な国、中国と同じでございますです。
私メは神田を歩いていたのであります。
神田は第二の故郷のような街なのであります。
足は自然に、事務所のあったビルへと向かいました。
古いしもた屋風の建物が残っているのであります。こういう建物を保存できぬものかと思うのであります。
向かいの古いビルのペントハウスが事務所でございました。
しかし、世代はいつのまにやら新しい世代にバトンタッチされ、新しい奴らの思い描く未来へと塗り替えられるのでありましょう。
世の中に染まれずに急逝した多くの芸術家の気持ちが、風と共に胸に吹き込んできたような錯覚を酔いながら、神田界隈をそぞろ歩くのでございますです。
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2013
10.17
台風一過の翌日、私メは味噌ラーメンをすすっているのでございます。
十傳スクールが終わった15日の夜、その夜は事務所に泊ったのでございます。すでに風雨は強くなっておりまして、16日の東海道線がストップすることを懸念したからであります。
16日は札幌からのお客さんを鑑定する予定になっていたからでございます。
バカげております。
伊豆大島の被害からみても、あの台風で札幌ー羽田の便が飛ぶはずはございませぬ。
しかし、それでも私メは16日の18時の鑑定予約を受けた責任がございますです。事務所に居なければなりませぬ。たとえドタキャンがあろうとも。
が、成功している事業家ほどキャンセルをしないことを私メは知っておりますです。
来れないことが分かっていても、一方の心ではキャンセルのないことを感じ取っておりました。
「必ずいらっしゃるだろう」と。
16日。案の定、東海道線だけでなくあらゆる鉄道は運休。
台風は東京をかすめ荒れ狂う強風をのこし、北上し正午には岩手県、さらには北海道に初雪を降らせながら釧路沖へと進んでおりました。
事務所に泊って正解でありました。
ニュースでは飛行機は全便欠航。当然であります。
ところがであります。
「先生…!」
と電話がございました。
「2時30分発の便だけが、時盤の南の大吉方位の、あの便だけは飛ぶそうです!」
「奇門遁甲カレンダー」をお持ちの方は、10月16日の時盤の午後1時から午後3時までの南の方位をみて、ご確認くださいまし。
鑑定の予約を受ける際に、私メはその時間帯を指定した記憶がかすかにありました。
受話器の向こうで「奇門遁甲恐るべし!」
と元気なお声が弾んでおりました。
そして4時間後の18時から、予定通りに鑑定したのございました。
お土産に頂いたのが、この味噌ラーメン。
丁寧に作りました。濃厚なお味で、胃袋がきゅっと鳴るほどであります。
信頼のラーメンでありますです。
約束通りに猛烈な嵐の中をいらしたというだけで、その女性事業家の運勢は強いとみるべきでありましょう。
そして、なによりも、約束をたがえなかった、いや、たがえるという気持ちがいっさいなく、至極当たり前のように事務所にいらしたその心は、私をつよく感動させるのでありました。
奇門遁甲を信じ、実践することで仕事が上手くいっていると語っておりましたが、奇門遁甲の吉方位を守り抜くというのは難しいことであります。凶方位なら行かなければイイのであります。その決断力を持つことが、奇門遁甲を使いこなす、すべてなのだということを再確認いたしたのでありました。
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