2019
08.18

猛暑の東京を抜け出て、モリオカへの新幹線に飛び乗りました。

実家に残している愛人が気になって仕方ないのです。

グレてはいないか、病気になってはいないか、他の男に汚されているのではないだろうか。

ハァハァと犬のように喘ぎながらモリオカ駅から開運橋をわたり、三戸町の坂を上がり、梨木町を折れ、組町の長い道をひた走りました。
もちろんタクシーですけれど。

彼女はガレージで待っておりました。
ダイヤルをひねると、ブルンと乳房を揺らし始動いたしました。
「明日は全身を洗ってあげるからね」
約束し、玄関のなかに引っ込んだのであります。

老母が亡霊のように、部屋のシミとなっておりました。

夜風は秋の匂いでゆれ、庭は虫が鳴いているのでした。