2021
09.07

自転車のタイヤがパンクしていたため、ガラガラと曳いて自転車屋に向かいました。

狭い通りなので、クルマなどを避けるために、住宅地を選びましたです。
そしたら、画像のような家が並んでいたのでございます。

八年ほど前までは、ここら一帯は、或る会社の社員寮。
それを潰して、50世帯ほどの建売が、たちまち建てられたのでございます。
マイホームを手に入れた連中が、サーフボードなどを洗うシャワーをとりつけ、湘南生活を楽しんでいるのを見かけましたです。

ところが、こーなってしまったのであります。

潮風の害ではありません。

手抜き工事というか、乾かぬうちに仕上げたために、内部からカビみたいなものが浮き出たとしか思えません。

せっかくの夢見た湘南生活も、これでは、泣いても泣ききれませんでしょー。
ローンは30年も残っているのではないかと、同情してしまうのでありました。

家相は、地相などの良し悪し、建物の形、門と玄関で家相盤を出し、そこでの吉凶を見ることになりますが、壁の汚れとかの判断は定められてはおりませぬ。おりませんが、家相以前の問題なのであります。

この家もそうであります。
UPしきれませんが、すべての建売が、ひとつ残らず壁面が台無しになっておるのであります。

「あんたってバカよ、こんな家を買うから…」
奥方の小言が聞こえて来そーであります。
「お前だって、買う時に気に入ってたじゃないか。ステキだとか言ってたよな」
夫婦喧嘩が絶え間ないであろーと、耳を塞ぎたくなるのでありました。

ちょっと前までは若夫婦の理想の代表として、自信満々で、この一帯は身ぎれいな家族で溢れていたものであります。

「地獄だな、一種の」

亭主は、家に帰りながら、
「損した、損した、損した」
と憤りを覚えつつ、ドアを開くことでございましょう。
おそらく内部も異臭がこびりつき、その異臭を吸ううちに、異臭が体臭となって、
「古漬けの臭いのする係長」とか「カビくさ小僧」とか「カビ姫」とか「饐えた妻」とか陰で言われているかもであります。

「誰だっけ、あの、あの貧乏くさい臭いのする彼女は…」
「ああ、湘南ガールになっちゃった人ですね」

後ろ指を指されているのは間違いございません。

家も可哀そう。
家族から愛されないよーになつていくわけですから。

家を手に入れるときには、専門家に確かめてもらわないと、一生の悔いになりますですよ。