2013
06.26

富士山が世界遺産登録したとかで、東洋人は舞いあがっておりますですが、富士山を本当に愛しているお人はどう思っているでありましょうか。

観光客が押し寄せる、その経済効果だけが嬉しいようでありますです。
金、金、金、金、でありますです。

もともと、富士山は遠くで見れば美しいのですが、近くで見ればザスザスな砂の山。おまけに七合目までは観光客のタレたウンコの臭いと、そこにたかる銀バエで大変な惨状であります。
「姿ばかりで心の悪い女のようだ」と知り合いが言っておりましたです。

はやく噴火しないかなぁ、なんて思ったりいたします。噴火して誰も近づけない毒ガスの山になればイイのにと。

私メの郷里の岩手山が、愚かしい遺産には登録されては困りますです。
震災の同情をかって登録された平泉だけで十分であります。

岩手山はふもとからじつに起伏の変化にとんだ、恋人でありますです。
岩場で頭をぶつけても痛くないのであります。
私メ以外の者が登山していると、心の中からの憤怒にたえませぬ。ジェラシーでございますです。
「見るな!」
と眼つぶしを投げつけたくなることもたびたびでございます。

世界遺産への登録は、自分の恋人が、突然にトップモデルにまつりあげられて有名人になってしまう、淋しさと悔しさの混じった複雑な思いになるのと同じではありませんでしょか。
お女性は共有するという暗い悦びはありますですが、岩手山だけはダメだ、なのです。
オラだけのモノだでゃ、なのであります。

富士山を愛していた方々に同情を禁じ得ませぬ。
ねがわくば早期の噴火のあらんことを。

入山料百万円、外国人は立ち入り禁止。アメリカ人が見たら、斬首の刑。新幹線が富士山あたりを通過する際には窓が塞がるように工夫してもようございましょう。
これが愛するというモノのとる本当の行動であるのでありますです。

2013
06.25

息をのむほどの美しい聖女が存在するものであります。
人種を問わずたしかに存在するのでございます。

その前では、ならず者も品性下劣な男も、平伏してしまうのであります。触れることさえはばかれるのでありますです。

いや、どのお女性も聖女の瞬間があったのかもしれませぬ。

その聖女の時代は、かならずしも、しやわせではなかったのではないでしょうか。
美しいお女性の境遇が、案外に無残であるように。

男に大切に扱われるために、神様が、お女性を聖女に仕立てているとしか思えないのであります。
しやわせになればなるほど、人生が固まるほどに、聖女は崩れることもまた事実なのであります。

恋愛には不幸が必要かもしれませぬ。
相手が不幸であれば、恋は上手くいくということも、濁情を裏側から覗いてみて、法則のひとつとして否定することはできますまい。
不幸な相手が、しやわせになると魅力が失せるわけでして、それは聖女の飾りを脱ぎ去ったということにもなるようであります。

どの部分から、ながめせしまになるのでありましょうか。
首筋なのかお腹なのか、それとも背中か。

「脱ぐよりも服を着る時って恥ずかしい」
と言えなくなるのはいつからなのか。

温泉で他のお女性がいそいそと隅に固まらなくなるのはいつの時からなのか。
男から乱暴に愛撫されるのはいつからか。

昨日、カラスと戯れていたとき、ギプスをした女の子が「すごいですね」と語りかけてくれたのでありました。
「捻挫?」と聞きましたら、
「はいねんざです」と答え、眼の奥で私メの何かと同調したように思えました。

これから濁情の年齢へと向かう女の子と、濁情から卒業しかけている初老の男の、濁情をはさんでの共鳴だったかもしれませんです。

2013
06.24

午前中のことでありました。
カラスが自転車に止まっているのでありました。
近づいても逃げようといたしませぬ。

どこかのジジ殿が、
「あれれ、どーなっちゃったの。好かれたの」
と声をかけたら、カラスはゲゲェ!どす黒い声で威嚇するのでございます。
が、私メに視線を戻すと、小首を傾げたりして、妙にフレンドリーでございますです。
「好かれたのか、なめられてんのだか…」
とジジ殿に返事をしようとしましたら、ジジ殿はもういないのでありました。

チリリンとベルを鳴らしたところ、カラスはコココとなかなか美声で返してくるではありませぬか。
これは、何かの使いではあないかと思ったほどであります。

ずっと昔、実家で、客さんが突然死したことがあり、その朝に、カラスが屋根の上を三回ほど旋回したと叔母が興奮して語っておりました。
が、その叔母は作り話が上手かったので真偽のほどは分かりませぬ。

しばらくカラスを撮影したり、テレパシーなどを試みたのでありますです。

そうして、「おれはもは行くよ」と、自転車のペダルをこいだのであります。

そしたらばでございます。

バサバサと羽音をならして、カラスが付いてくるではありませぬか。それも私メの頭上五センチほどのところを。
髪の毛が羽根で煽られるのでありました。

と思うと、急旋回して、電線の高さまで飛翔したかとおもうと、ふたたび私メの肩先をかすめるのでありました。

魔術師にでもなった心地でございます。
ソレを見て、捻挫したのか、キブスで足を固定した中学生くらいの女の子が、ワッと騒いでおりました。

が、コンビニに入っても待っててくれているかと期待したのに、カラスはもういなくなっておりました。

吉祥と受け止めた次第でありますです。

オマケ*さきほど、といっても夕刻でありますが、先ほどのカラスなのでありましょうか。部屋の外でガァガァと甘えた声で鳴いているのであります。ロメオと外に出ましたけれど、姿は見えませぬ。鳴き声ばかりが響いているのでありました。