2022
06.06

講義の録画をチェックしつつ、
「懐かしい話を織り込んでいるなぁ」
とウフフいたしました。

初めて事務所を持ったのは東北沢でしたが、そこは一年足らずで撤退いたしました。
資金繰りがつかなくなったためであります。
ギャンブル誌が、一時的に休刊となり、そこからの収入が途絶えたのでありました。

さいわい四か月後に復刊し、私メも、
「今度こそは」
運良く、神田神保町に古い事務所を見つけました。

きっと鑑定のお客様がたくさん来るだろうと見越していたのですが(吉凶はこわくて占いませんでした)、半年あまりは、閑古鳥。

原稿料などで食いつないでおりました。

裏通りですが、その通りに面したドアには、『今日の運勢』と記したボードを設置し、まいにち12星座の、金運、恋愛運などを記入していたのに、
「なんだぁ、ムッシュー星座協会だと? 怪しい~」
の声が二階の事務所まで届くのでありました。オショシくてオショシくて耳を塞いだものであります。

やっと一人目のお客様が来たのは、そのお客様が毛皮を着ていたことから冬だったのでしょう。
「十傳先生は…?」
「私ですが」
「あなたですの」
ありありと落胆の表情をなさっていたことを、いまも忘れてはおりません。
十傳という名前から、おそらく長老をイメージしていたのでありましょう。まだ40歳そこそこでしたから名前と貫禄が一致していなかったのであります。むろん鑑定に対する自信のなさが全体から漂っていたことも間違いありません。

そーいうことを講義中に無駄話として噛ませつつ、占い業の参考となればと恥をさらしたりしておるのであります。
本日も、自分の講義を視聴し、
「けっこう面白いではないか」
自慰的行為ではありますが、ちと見とれてしまいましたです。
「語ってイイかなぁ、ここらへんでやめたほうがイイーかなぁ」
と、自分自身の葛藤もまた見て取れるのであります。

さーて、来週は、断易初等科Cと、新版四柱推命初等科です。
なにを「タメ」になる無駄話にしよーか思案中なのであります。占いの種類によって無駄話を変えないといけないのであります。