2023
05.08

GWは、どこもかしこも混雑していると思い外出は控えていたのですが、
「広尾なら…」
空いているのではないかと、足を運びました。
広尾というのは、東京都の高級住宅街で有名な広尾であります。
恵比寿からバスで二つ目だったか三つ目。

そこに国学院大学の博物館がございます。
現在、日本の天文学の資料が展示されているのであります。
「これは行がねばな」
案の定、シーンと静まり返っておりました。
涼やかな風が樹木を通り過ぎて、良い「気」をそよそよとそよがせているのでございました。
ははぁ、こーいうところに住んでいると、自然に豊かな人格が形成されるのだなぁ、と、圧倒されながらもしばし大きく息を吸い込むのでありました。

館内は熱心な学生が数人、古文書をノートに書き写している姿がみとめられるだけで、贅沢な展示物が私メを包み込むのでございます。
私メの目的は、古代天文学とか、安倍晴明の枝流だとされる土御門派の文献ではなく、東洋占術の要素が、たとえば祭事などにどのように溶け込んでいるかとか、暦とか、日食の観察の日付とかの資料でございます。
その目的は半ば果たされ、半ば果たされませんでした。
そーいうものでございます。

広尾は、私メが東京に出てきて、はじめて出来た友人の、実家があるところであります。
その友人は五歳年上でありまして、オヒャレや食事のマナーなどを自然に教えてくれた師でもございます。それから、お女性への都会的なアプローチの数々も。
彼の家は弁護士一家でありまして、父親も兄上も姉上も東大在学中に弁護士資格を取得したという腰を抜かすほどのエリート。

彼もまた日比谷中学では首席で卒業し、麻布高校に進学したほど。

ところが弁護士資格に何度も挑みましたが、とうとう落ちこぼれたのでありました。
だから私メは付き合うハメになったのでしょー。

国学院の博物館から渋谷に向かう道々、彼のその後を思い出しては、ため息をつくのでありました。