2023
05.09

王将のラーメンセットをたまに食いたくなりますです。

京都に住んでいた頃、北区だったかに京一会館という格安で映画を見ることのできる映画館がございまして、たしか300円で三本立てだったかと思います。
文学作品から、アートシアターギルドというアングラ、日活ロマンポルノなど、もう無差別に上映してくれるところでして、一本目が午前10時前に始まるので、朝飯も食わずに駆け付けるという具合でございました。
たしか、たまに日活ロマンポルノの看板女優である田中真理とかが来館して、討論会みたいなこともしておりました。

で、一通り映画が終わるのが午後4時過ぎ。
そこから空きっ腹を抱えて京極までくだり、木屋町の王将に飛び込むのであります。
いや、本当はカッパ天国という餃子屋を目指すのでしたがが、狭い店でしたのでよほど運が良くなければ入店することが出来ませんでした。
たとえ入れたとしても品切れになることがあり、すると中国人のオヤジが皮から作るのであります。練った小麦粉のカタマリを歯車の付いた器械で何回も伸ばすのであります。そして円形の蓋のようなブリキで、表皮をつくるのです。さて、皮が出来ると、今度は、不幸そうな女房らしきお女性とやおらしゃがんで丼に準備している具をスプーンを使って詰めるのです。
そま工程を涎をおさえてジッと見守ること45分。
とても待ってはおられません。

多くの場合、
「王将でエエか…」
となったのであります。
仕方なしにしろ、餃子を頼み、そこで飲む瓶ビールは効きましたです。
胃袋にしみわたり、後頭部がグラリとする酔い加減はこたえられませんでした。
餃子も5人前はペロリでございました。一人前90円の時代でございます。

上京し、最初に住んだ新宿の大久保の駅前に、王将の支店が出来た時は、救われた気持ちでございました。

こうして王将で餃子を食っていますと、となりに長髪に小汚いジーンズ姿の仲間がいて、映画論なんかを喋っている懐かしい錯覚に陥ったりいたします。

まだまだ易者になるなんて考えも想像もしていなかった頃でありました。