2023
04.02

例年より桜の開花がはやいと聞いていたので、今年は諦めていましたが、名も知らぬ神社の境内に満開の桜が咲き誇っておりました。

咲けば散る。
これが桜の宿命でありましょーか。
咲きたくて咲くのでもなく、散りたくて散るのでもない。桜はそういう植物なのであります。
そこに人生をマッチングさせたくなるだけのこと。
短い春の最後を飾る花なのでございましょう。

春を、人間の青春と置き換え、春夏秋冬と数えれば、私メはすでに冬。
玄冬の時代を迎えておるのであります。

花咲じじいの物語を連想いたします。
愛犬を焼いた灰を桜木に撒くと、いっせいに花開くという、あの童話を。

不感症のお女性に快楽をもたらす爺さんの話だと、かなり以前から斜に構えて解読しておりましたです。
すると、犬が「ここ掘れワンワン」も、まるでエロ話のように迫ってくるのであります。

映画「燃える秋」のなかで、老いた佐分利伸が、若き真野響子に、
「さぁ、脱ぎなさい」
としゃがれ声で促すあのシーンを私メは30代のころから、いくども真似ておりました。
自分もきっと、いやぜったいに言うんだ、「さぁ、脱ぎなさい」と。

通りかがかりに目にした桜の老木は、
「そろそろイイでないの?」
励ましてくれているよーに感じたのであります。