2015
07.26
07.26
黙しておりましたが、人嫌いが際立っておりましたから、今回のモリオカの帰省はちょうど良いタイミングでした。
特定の人に対する嫌悪ではなく、これも老いの一つだと自覚いたしております。
飲みに行くこともせず、狭く暗い部屋に閉じこもって小難しい断易の専門書を読みふけっております。
そんななか庭の向こうの畑に西瓜が実っていることを発見しました。
五月だったかそのあたりに遊びで植えたヤツであります。
赤ん坊の頭ほどの西瓜が三つほど。
へへぇってなモノで、嬉しいのでありました。
消費税でオリンピックの経費を捻出しよーという目論見に対する抵抗というには、あまりにもささやかすぎますが、けれど、家でも西瓜をつくれる驚きは相当なものでございます。
割ってはんぶん食べて見ましたら、これがバカに甘いのでございます。
腹がだぶだぶになりましたので、あとは夕食後にとって置きましたら、老母が、
「ありゃーん、松井さんにやったぁーん」
と言うではありませぬか。
松井さんというのは向かい80になるご婦人でございます。
いつもオカズを老母に差し入れてくれるお方なのでございます。
「仕方ねな」
と残る二つのうちひとつを採ろうとしましたが、おりからの土砂降り。
諦めましてございます。
で、暗い部屋にはいって、ふたたび断易本の続きをめくるのでありました。
古い空調が部屋を震わせております。
どこかで子供の泣き声がしております。
しばし静養の日はつづくのでありました。