2015
08.10

平塚の花水ラオシャンというラーメン屋があるのであります。

茅ヶ崎からは車で20分ほど。晩夏の陽射しが不意に陰り雨が音を立てて降ったかとおもうと、ふたたびカッと陽光がさす魔物のまばたきのような天候なのでありました。

国道134の虹ケ浜の交差点を右に折れ、次の通りを左に。素朴な街が出現し、そこに店があるのでございます。

数人が行列していまして、店の表には判読困難なメニューが。
被災者が配給を待つように私メもしかたなく並んだのでございました。

しばらくしますと、青いドアが開きまして、そこから女将が現れ、それぞれに注文を聞いてはメモするのでございました。

何を食っていいのか分かりませんけれど、これまた仕方なしに「ワカメタンメンの中盛りと餃子」と頼んだのでございます。
そして、たちまち意味不明の羞恥心に襲われたのでございました。

昨日の「四柱推命の初等科を申し込みたいのですが」
と二十歳代のお女性の言葉が、その羞恥心をたなびかせる要因だったかもしれませぬ。
「大丈夫ですか?」
と尋ねたら、
「だって先生が、もう長くないかもしれないと言ってたじゃないですか、ご自分で。死なれる前にぜんぶ教わりたいと思って」
と言われたのであります。

本当はまだ若いと信じていたのでありましたが、そのお言葉で、ああ、もう完全にジジイになってしまっていたのか…。と思い知らされたのであります。
まだ夏だと油断していたら、水道水の冷たさに、夏はずっと前に終わっていたのだと知らされるよーにであります。
そのジジイが若い奴らに順番も譲らずに、タンメンを、それも麺の量が二倍もある中盛りを頼むことに対する羞恥心でございました。生きよーとしていることの恥ずかしさ、食欲があることの恥ずかしさ、大汗かきの恥ずかしさ、お女性をみると反射的にオッパイに視線がいく恥ずかしさであります。

不思議なタンメンでございました。
スープにかなりの酢が入っております。ラー油をまぶして食えとのこと。麺は完全なる冷麦の麺なのであります。

これが美味いのでした。

羞恥心に悶えたことも忘れ、汗をかきつつすするのでございました。
中盛りですから食っても食っても減りませぬ。
しかし、どこまでも食えるのでございました。
これで550円。何も入らない普通盛りは400円。安いのでございます。
近くのパーキングに止めましたが、この料金も一時間200円と安いのでございました。

お勘定をすまして店を出ましたら、風が髪をなぶってくれます。もう暑さには勢いがこざいませぬ。汗を一掃してくれる風なのでございます。

帰路、オープンカーなどに追い越されましたが、とたんに羞恥心がよみがえり、「恥ずかしー!」を連呼してしまうのでございました。

が、実際、やはりジジイでございます。
であれば、なにを惜しむことがございましょうか。
すべての秘伝を公開しなければなりませぬ。

断易、四柱推命、奇門遁甲、そして月末に予定している家相セミナーで、私メのため込んで秘密にしていたヤツをガバッと放出するしかありますまい。

むろん基礎固めをキチンとしなければ秘伝を役立たせることはできませんから、この基礎固めをなるべく効率的に短期間でクリアさせることも私メに残された仕事でありましょう。

断易は「黄金策」で終わりにしようかと思っていましたけれど、その先へと進路を取ろうかと心に少し決めました。
残り時間はあとどれくらいか…。