2011
03.31

 これは3月29日の昼過ぎの東京新宿初台の風景であります。

無人なのであります。

東京は死都と化したようにひとけが途絶え静まりかえっているのでした。

恋人の姿もないのであります。
震災から原発の事故という災難続きのいまこそ男と女は求めあうのが普通だと思っていましたけれど、カップルの姿はございません。

デートすると不謹慎だと叱られるからでありましょうか。
それとも外にでていると高濃度の放射能を被曝し、それは女性が不妊の危険につながるというためでしょうか。

じじつ、不妊の相談者にスッチーは多くいました。飛行機に乗る機会がおおいと、それだけ放射能を浴びる確率もたかく、ために不妊に陥るためだからです。

が、それにしても白昼の無人の新宿は不気味なのであります。

 ほうら人が数人いるだけでありましょう?

もしかすると人間の体内から恋愛する気力を奪ってしまったのが今回の震災だったのかもしれませぬ。

人は一人では生きていけないとか、愛こそかすべてだと、まことしやかに歌われていた催眠から覚めたような有様であります。

光と音楽の絶えた死都を私は嫌いではありません。
が、やはり偽りや戯れでもいいから、そこに男女の愛の姿が必要なのであります。

か、それはこれから再生されるのかもしれませんですね。

いつの日も、愛は、偽りや戯れからはじまるものであります。
新しい水槽に微生物はいなくても、やがて藻やコケが発生すると、ミジンコだのがあらわれるごとく、死都東京にも、あたらしい愛の形が誕生することを期待しているのであります。

やはり男女の濁った愛はなにごとにつけても活力なのでありますから。

すこし私の人嫌い病が悪化しているようであります。