2024
01.18

私メの使っているジムには、大浴場がございます。
老人たちは、そこでジムに疲れた体を癒すのでございます。

さて、そこに一人の老人が現れました。
70代後半とおぼしき老人でございます。

彼は、いつも、一定の筋トレの後、ランニングマシーンで5キロ走り込むことを日課としているのであります。
なぜ詳しく知っているかというと、どーも気にかかって仕方のない人物だからです。
ジムのオープン前からドアが開くのを待ち、誰とも会話しません。
しかし、頑固な割には気が弱いのか、受付の女子に声をかけられると、ぼそっと「おあおあございます」と返すのであります。

そしてひたすらトレーニングにいそしむのです。

けれど、正しく器具を使っていないので、遠目では、
「どこか変」
なのであります。
ランニングマシーンでも両手をだらりと下げたまま、時速8キロで、前につんのめりそうな姿勢で走るのであります。
あたかも籠の中のモルモットでございます。

それでも汗をかき、後頭部のペテロ禿が光るのであります。

で、その老人と大浴場で遭遇しました。

「おお!」
私メは易者でありますから。人相を反射的に見ますです。
人相は顔だけではなく、手足、ヘソ、もちろんイチモツも含まれますです。
おお! と記したのは、
「使いこんでいる…」
と診たからでございます。

デカいとか小さいというのではなく、現役のイチモツの稜線であることが見て取れたのでございます。
普通の老人だと、灰色の、もはや腐りかけた蠣のよーにただぶら下がっているだけ。
が、彼のイチモツは粒々状の粒子が亀頭に散らばり、赤く色ずき生気に満ちているのでした。

「お女性か…」
たぶん相手は50代か60代のお女性だろう。若くはあるまい。
その相手との時間に備えて、体を鍛えているのだ。

ニヤリとした視線を投げましたら、老人は激しく瞬きをしてしなびた臀部を向けるのでありました。

色即是空、空即是色。