2015
10.14

私メの体調を気遣ってもらったのでしょうか。
このようなお酒をいただいたのでございます。

元蓋をあけましたら、濃厚な土の匂いが部屋全体に漂いました。
土といっても、土中の深い匂いでございます。
畑にスコップを入れたとき草の根の切れる音とともに匂いだす、あの土の奥の生命の匂いであります。

冷水で薄めよという取説の通りにいたしました。

グラスのふちに唇をあててグビッ。

「まずい!!」

これが第一声でございました。
次の瞬間、耳穴と言わずヘソと言わず、肛門と言わず、毛穴と言わず、穴という穴から火が出たような打撃。
「おおおお」
床を転がりましてございます。
喉元を抑えましたが、頭髪までが逆立ち、おそらくマッチの火を口に近づけたらサーカス団のように口から炎が噴き出たでございましょう。

そーして、ようやく立ち上がった私メは、ヌヒヒのビョョョーンの別人に変わっていたのでございます。

これでは夜な夜な遊び歩き、かえって健康を害するカモでございます。

階段をのぼりながら、
「さぁ、脱ぎなさい」
と久しぶりのフレーズをひとり発したことでございました。