2021
08.11
08.11
やがて、しんしんと雪が音もなく降り積もる冬がやって来ます。
厚手のコートのポケットのなかで、お女性の指を愉しむ冬が。
お女性のスマホが鳴り、片手で応答するのでしょうか。
降る雪が舞う街灯に視線をそらしながら、
「いいえ」とNOを三回、「はい」を二回、「分かりました」と電話をきり、気持ちを切り替えるよーに、両腕で私メの右腕をつつみ、信号のある交差点にでるのでしょーか。
耳を澄ますとシャンソンが漏れて聞こえるのでございます。
そんな冬の到来はもうじきでございます。
…冬物のコートかぁ。
この冬は、どんな素材がシックリとくるのでしょうか。
はやく駅のホームで寒さにふるえてみたいです。
あたたかなシチューをスプーンでゆっくりと口にはこびたいものであります。
十傳スクールで、
「最高気温が三℃にもたっしないようですよ」
なんて言いたいのです。
その頃になると、五輪に煩わされた記憶もとおくなり、雪の街への憧れが波動して刺激するかもしれません。
「もう帰れよ」
窓の外をのぞきながら言ってみたいものであります。
「きゅうに北海道のカニを食いたくなったから」
一緒に行くかと声をかけるかどーか、これは最後まで迷うことになるでありましょう。
「あした仕事休めよ」
そして、羽田まで向かうタクシーの中で、
「方位は…? はてはて」
すこし焦ったりする冬は、まもなく到来いたしましょう。
申しまでもなく、すべて妄想ですので、あしからず。