08.21
そーいえば、クルマのリコールの報せが届いていたなぁ、と思い出し、問い合わせたら、
「いつでもイイです」
とのことでしたので、
「では、いま行きます」
PCの電源をおとし、クルマのキイを首にかけ、西バイパスの向こうにある店までひとっ走り。
知らない道路が縦横にできていて、
「これは分からねぇぞ」
路肩に停めまして、ナビをセットしたのでございます。
そのむかしは田園地帯でしたのに、すっかり様変わりしておりまして、うろたえるのでした。
また他県ナンバーですから、油断できませぬ。
優しさの奥に、モリオカ人特有の意地糞な性格を秘めているところは、50年前とたいした違いはございますまい。
ディーラーの方々も、丁寧な応対の中に、
「よそ者」
という態度が見え隠れいたしますです。
それでも形としての害はなく、作業がおわるまで待つ間、ミステリに目を落とすのでございました。
朝晩、老母と口をきく以外は誰とも会話いたしません。
たまに電話がかかってきたりいたしますと、咳ばらいをしたからでないと声がかすれてしまうのでありました。
理想的な生活ではあります。
仕事に没頭し、目が疲れたら草刈り。そしてウィスキーのロックを飲んで寝る。
TVもラジオもつけませぬ。
夏の終わりの乾いた熱風が南から北にぬけていくのであります。
夜は鈴虫がけんめいに鳴いており、庭の長椅子にこしかけタバコをくゆらしながら、「秋なんだなぁ」なんて思うのであります。
前回に仕込んだ一升漬けに、しその実を入れなければならないのですが、しその実はまだだよなぁ、とか、キノコは出回っているだろーかとか、東京での生活からま考えられない隠遁生活なのでございます。
では、お女性が欲しいかといえば、そーでもないのでございます、まだ。
鹿の角の粉末ももってきておりませんし…。
ディーラーの受付嬢も、チラ見しただけで、
「もう結構でございます」
なのでした。
しかし、おかげさまで、「奇門遁甲カレンダー2022年上半期分」は驚くべきスピードではかどっているのでありました。