01.29
納屋の片づけをしていましたら、葛篭から、このよーな手帳が出てまいりました。
昭和12年のモノであります。
亡き祖父の残した手帳です。
昭和12年は、一族はまだモリオカではなく、江刺に住んでいた頃であります。
モリオカには昭和14年の五月に移住したのですから。
移住の準備として材木などを購入していることが、手帳には記されておりました。
祖父は私メが16歳の秋に亡くなりました。
初孫でしたから、ねだればいろいろと買ってくれました。
しかし、手帳に記されているのは、異常なまでのお金の計算。
激しいほどお金に執着する男だと、聞いてはおりましたが、手帳を開いて、
「いかにも」
と納得してしまうのでございます。
どのページにもお金の出納がキッチリと書き込まれているのであります。
でなければ、モリオカの土地を手にすることは出来なかったわけではありますが、あまりにも細かすぎる。
そーいえばタバコを吸う時も、両切りのいこいだったかを、半分にちぎり、それを煙管に押し込んで吸うのであります。
残りの半分は、大切そーにシガレットケースに戻しておりました。
目玉焼きの、皿にひっついた黄身も犬が舐めたよーにキレイにするのでありました。
祖父は、金銭感覚に鋭いお方で、二男であるにもかかわらず、モリオカに移住すると、次々に土地を買っては兄弟八人をモリオカに呼んで、土地や家を譲っていくのでありました。
その手法は土地ころがしなのであります。
が、昭和30年代に失敗し、以後、土地の売買から身を引くのであります。
それまでは、子供たちの入学金や学費、結婚費用は、買いこんだ土地を売っては、それに充てていたのであります。
それらの具体的な資料が手帳に克明に記されておりまして、
「たいへんなものだ」
感心してしまったのであります。
このほか、曾祖父は山寺の住職でありまして、なんと東京の神保町で占いの勉強をした形跡もあったのであります。
筮竹も出てまいりました。
山寺ですから、住職でも占いをするのであります。
が、その内容は稚拙。
未熟な占いの知識で、村人たちを占っていたとは…。
しかもですよ。
その占いの鑑定料の未収金の台帳まで出てきたのであります。
ため息が出ましたです。
すごいですね。
血筋なんですね
●十傳より→です。私メのせいではございませんです。
曽祖父
●十傳より→はいぃ?
あれ?コメントが入りませんでした。
曽祖父さん
●十傳より→ありゃりゃ。
また、入らない。
先生の前世は、曽祖父さんなのでは?
●十傳より→でしょーか。