2016
10.31

モリオカの情報を伝えてくれる、くノ一がおりますです。

郷里の状態がどのようなのかを知り、事前に対処できるので助かっておるのであります。

たまにはお礼をしようかと、彼女が営む衣料店に行きましたが、「本日休業」の張り紙。

そーか…と街をブラつきましたが、ハロウィーンだというのに、そして日曜日だというのに、街は森閑としております。

ナナックというシケた百貨店で、郷里の手土産コーナーみたいなところを見ていましたら、なんとくノ一が、
「オノくーん」と満面笑みでの偶然の再会。

指折り数えずとも、数年ぶりでありまして、老女のくノ一になっておいででした。

「元気そーだね、で、なんでこんなところにいるの」と老女のくノ一。
「たまにはお礼をしたくてね」と私メ。
「うそでしょー」と老女のくノ一。

それで、岩手公園という、城跡を歩くのでありました。

この城跡は、薩長の奴らに明治の初年に破棄されて、明治23年まで立ち入り禁止の荒野だったのであります。

その恨みを知る人もほとんど残っていない、まるで原爆投下国に追従する日本を象徴しておるのであります。

「神戸、どう?」と老女のくノ一。
「イイところだよ。街の匂いがイイんだよ」と私メ。

気付くと老女と、連れだって歩くのは初めてでして、中学のクラスメイトでありますが、岩手山登山という行事があり、三合目で目を回した少女だった老女の荷物を担いでやった、私メの体力に恩を感じてか、その時からくノ一の存在になっておりました。
オナ友でもございませぬ。

歩きつつ、「いつもお世話になっていますね」と業績を讃えるとかもないのであります。

たとえば、これが30年前であれば、「夢殿はどーかな」なんて気持ちになったかもしれませぬ。
夢殿とは、モリオカの老舗のモーテルであります。

念じれば…別に念じたわけでもありませぬが、本日休業の張り紙があったとしても、目的を直感して私の目の前に現れる、今は痛ましい老女のくノ一に、お茶の一杯も献じ得なかった私メの無情も、男の諸君であれば納得してくださるはずであります。

同様の、偶然が、この日のモリオカでは二度あり申した。

二度目のヤツは割愛いたしますです。

 

2016
10.30

長野ではございませんです。
モリオカにも安曇野という部落がございまして、その近くに蕎麦屋がございます。

滝沢にも支店がありますが、この、小岩井に向かう46号線沿いの店が美味しいよーであります。

数年前に、食い過ぎまして、「蕎麦はどーもな」と遠ざかっておりましたが、ちとその気になりました。

もっと美味い店は、あるにはあるのですが、この店が私メには手ごろ感があるのであります。

イイところは大量に出てくるところでしょうか。
いやいや…。
こういうふうに、江戸では許されぬ邪道の悦楽を許容してくれるからでありましょうか。

蕎麦には南蛮。
それも直接にふりかけるのが私メの食い方なのであります。
むろん、ワサビもタレにはいれずに、始めから蕎麦にまぶすのでございます。

モリオカでは、ゴンパチと申しまして、いわゆる紅葉おろしを蕎麦の薬味にいたしますです。

「ううん、僕は薬味はねほが好き」
なんてガキは、この店にはおりませぬ。

何がキライかといって、蕎麦通のガキほど嫌なモノはございませぬ。とくにオヤジ連れのガキ。
蕎麦のすすり方を親から学んだのか、小学生のクセに、タレに八分くらい蕎麦をくぐらせて、ゾッゾッと口に運ぶガキ、それに満足げな親父を見ていると、つかつかと近寄って、頭からウンコをぶっかけたくなる衝動を覚えるのであります

が、この店にくる客はドン百姓たちばかりですから、もっとも美味い邪道を自然に真似してくれるのでありました。
そして、めちょめちょと小汚くすすのであります。

天婦羅蕎麦の二枚重ねで千円ちょっと。

モリオカは、ジャジャ麺とか、冷麺など、入植の朝鮮人がもたらした、これこそ邪道の麺がもてはやされておりますが、じつは蕎麦の宝庫。

さまざまに蕎麦があるのであります。

「あんや、そったにナンバンば振りかけるから、秋だずのに暑っつがるんだ」
と老母。でありました。

2016
10.29

オシッコがしたくて立ち寄った産直の脇に、「えっ、乳神?」
これは小便より先に見学しなくてはなりませぬ。

よくある母乳伝説なのでありまして、赤ん坊が、死んだ母親の乳房に吸いついていたという物語が立て札に由来が記されておりましたが、そんなつまらないことはド~でも良いのであります。

ただ一つ、興味を惹かれた逸話として、この地で、或る時に、不義密通として火刑に処せられた時、乳房から乳が溢れて、火を消したということであります。代官にカラダを提供したという意味なのでありましょうか。

その乳が洪水となって、その村を全滅させたというのなら、より面白うございます。
乳房は赤ん坊にとっても、男どもにとっても泉のような存在。

遅刻したお女性にイラついていた男が、乳房を目にしたとたんに上機嫌になるなど、それほどの平和の象徴かもしれませんです。

不義密通の刑罰としては、斬首が主でして、火刑というのも不思議でございます。おそらく私刑でございましょう。
この一帯は森林でありますから、山火事があり、それと乳神がリンクしたのかもしれませぬ。

何はともあれ、拝んでおいて損はなさそーなのでありました。

どこかで似たよーな話を目にしたことがあったよーな。

ある島に渡った時、そこは赤面するほどの男根の石がおびただしく祀られ、はやり火事の際に男根から水が吹きだして鎮火したという逸話が、頭を蘇りましたです。

岩手県の、この場所は遊女らがいた川目などからは遠く離れていますから、色っぽいお話ではありますまい。
しかし、どこにいても、愛欲や濁情から、人は逃げられない定めでして、様々なトラブルも、その愛欲が発端になっているのでございましょう。