2020
08.20

捨てたはずの映画のパンフが段ボールからゴソッと現れたのでありました。

10代に何を考えていたのか、もはやリアルに思い出すことはできませんです。
ただ郷里のモリオカに戻ると、現年齢を忘れ、時を超えティーンエージャーに戻ってしまうのでありまして、
「ギャッ!」
我に返り、鏡などを見るとオショシくて恥じ入るばかりでありますが、こればかりはどーすることもできないのでございます。

ですから、今日などは庭の草刈りをしていたのですが、30分もせずに、疲労を覚えては、
「おかしい?」
こんなに、すぐに疲労するはずはなかったのに…。
「そーか齢のせいか」
と、しばらくしてから気づく有様であります。

けれど、それは自分のことなのです。
車で横断歩道で停車し、歩行しているお女性を眺めて、
「おや、彼女では…」
眼を奪われたりいたします。
「そんなわけはない。彼女はすでに60歳こえなのだ」
と現実にかえるのは、ずいぶんしてからのことでございます。

もしも、本当の彼女がいたとしても、気づきもせずすれ違うだけでありましょう。

くちびるを合わせた、あの唇にも皺が寄っているのか。
プリンのようなオッパイも、ゴムまりのようなお尻も、「指だけは自慢なの」と太陽にかざした水仙のような指も。

恋愛とは何だったのでありましょう。

先月だったか、地元の新聞に同い年の女性の訃報が載っておりました。
その名を知っておりました。いえいえ、画像の映画をいっしょに見たこともございました。
「結婚していなかったのか。それとも離婚して元の姓に戻ったのか。それとも同姓同名の別人なのか」
調べようともおもいません。調べたところで時の残酷を知るばかりでしょーから。

男だとて同様であるのですが、男に生まれて良かったと思うのは、それは差別に入るのでございましょーか。

2020
08.18

足掛け九か月ぐらいかけたモリオカのおうちが完成したのであります。

庭や玄関は未完成でありますが、家にはどーやら住めるのであります。

ドアを開けると、そこは牢屋。

屏風を立てておるのは、家相上の欠点の一つを和らげるための苦肉の策なのであります。
インテリアによって家相のヤバイ部分を修正することも、手段の一つとして有効なはずでございます。
占いのお客様にアドバイスしていたことが、今度は自分の事として役立つのであります。

以前も申しましたが、家相上、65点なのであります。

とくにダイニングは、凶格となってしまい、しかし、玄関と門の関係で、そこは宿命的なものとして、家相の局が変わる2024年だったかまで耐え忍び、また工夫を重ねる必要があるのであります。

が、この工夫などは、やがてふたたび、占いの家相のアドバイスとして生きてくることでございましょう。

100点満点の家相はありえなく、また100点満点の家相であってはならないのであります。
断易でいう日晨壊変と同様になる危険がございますれば。

きちがい病院の独房のよーでありますが、ここは客間。
そのなかにブランコを据えましたです。

だから客間にはなりえませんし、またお客などあろーはずもないのであります。
しかし、客間は家相上でも必要でありますから、仕方ございません。

で、おそらくデッドスペースになると予想し、なるべく活用できる一室にということで、ブランコを思いついたのでございました。

しかしながら、
「あんや、誰が住むのす?」
老母はよたよた歩きながら呟くのでありました。

そんなことを考えて建てたのではありません。

狂っていたのであります。

狂っていなければ建てるはずのないおうちであります。

が、なかなか心が休まり、体の芯からほかほかと温まることだけは、おうちのなかを回ってみて感じたのでございます。

2020
08.17

良い形のトカゲを採取し、それを乾燥させましたら、ご覧の通りの、麗しいミイラになっておりました。

尻尾などを傷めずにキレイにミイラにするには経験と根気強さが必要なのであります。
これに金の漆で飾り、モリオカの実家の守り神として、屋根裏部屋の高い梁の上にでも祀ろうかと考えておりますです。

が、ただ祀ればいいというのではないところに、呪術的な難しさがございます。

生きたまま採集し…というか仕掛けを作って、誘い込んで捕獲してのでありますが、そのまま壜のなかで餓死させたわけでありますから、いわば、
「水をくれ!」
状態であることは間違いございません。

それをそのまま梁の上に祀ったところで、吉現象としてあらわれることはあり得ないのであります。

毎日、お水を差し上げてこそ、
「この恩は何にも代えがたい。何なりと願いを叶えて差し上げましょう」
と吉龍に化けるのでございます。

もちろん私メが、絶命させた下手人であることは間違いありません。
しかし、そこまで考えつかないのがトカゲでございます。

日本人だとて、同様であります。
原爆を二発も落とされ10万人以上も殺させたというのに、まいとし八月になると、一億総ざんげをしているではございませぬか。投下国のアメリカに復讐を誓うどころか、尖閣列島の中国の侵略から守ってくれと哀願していることを考えれば、トカゲだって、
「殺されたことよりもお水を与えてくださって、あなたはご主人さまでございます」
ということになるのは火を見るより明らか。

日々の祈りとお水こそが、ミイラのトカゲを、「小蛇化龍」とさせ、強い味方に育て上げることになるのであります。

しかし…、見れば見るほど美しいミイラなのであります。