2013
06.14
06.14
モリオカの実家の門前で、バラが私メを出迎えてくれるのでありました。
ひとりで暮らしている老母が亡くなれば、バラたちはもっと香り、心に語りかけてくれるのだろうと、早くも妄想モードに切り替わっているのでございます。
かつてたくさんの親戚たちで賑わった屋敷も古びて、広い暗闇に包まれておるのであります。
斜陽とか衰退と呼ぶのでしょうが、それはそれで趣がないこともありませぬ。
この二十年、集まりというと、葬式や法事ばかりでありました。
「じゃじゃじゃ、こったなことがあるんだな」
と急死した親戚の通夜の席でこぼしていた当人が、次の年に病死し、そうやって一人ずついなくなり、まさに「めぐるサカズキ影さして」でございました。
が、今回は明るい話を老母から聞いたのであります。
姪の結婚。これでありました。
来月結納、年末に挙式とか。
あえて占うことはいたしませんです。
相性をどうのこうの占ったところでせんなきこと。
どこかに欠点のない相性などありはしないのでございます。
門柱のバラは去年も今年も、そして来年も咲いてくれることでありましょう。
たくさん花がついていてお見事です。
赤って人目を引きますね。
通りすがりにいい香りも。
●十傳より→秋まで咲かせるために、今日は花を摘みましたです。
いつか訪れる 愛する人との別れ
考えまいとしても ついつい頭をよぎり
いたたまれない気持ちになります。
この赤いバラの花が 来年も 再来年も 次の年も
末永く お母様の手によって手入れされ
美しく咲き続けますように。
●十傳より→ひとつだったものが我と彼になるから、ワカレなのでありましょうか。それとも和枯なのか。廃園にバラが咲いている景色が浮かびますです。