2024
04.28

年に何度か、厄介な鑑定がございます。
たとえば、
或る有名占い師に、「その西の方位は大凶だ。だから一度南西に引っ越しなさい」と言われたのですが…。
という相談であります。

つまり、前の占い師の誤りを修正しつつ、開運へと導く鑑定であります。

西の方位に引っ越せば何が起こるか分からないと断言されました。
でも南西に引っ越したとろ…

相談者の言葉を制し、方位盤を眺めつつ、
「皮膚病や歯や骨に支障起きる方位ですが」
と答えました。

「そうです、その通りでした」
相談者の答えを聞き、「やはりな」と確信し、「これは面倒だ」とすこしため息をつくのでした。

天盤辛の、いわゆる吉方位ですが、それはアーティストにとっては良くても、一般の人にとっては、副作用の方が強く出てしまう暗示があると見たからであります。
「むしろ西の方が良かったんです」

しかし、高名な占い師の立場も考えて、「西の五黄が引っ掛かったんですね」とぼやかしました。内心は「バカめ」と吐き捨てておりましたです。
聞くまでもなく完全に気学の判断でありましたから。

相談者の話から、どの占いのどの流派かを見極める必要がございます。
気学も気学、そこいらのカルチャーセンターに五六回通っただけの判断であるなと見てとれましたです。
高名でも多くの場合、結局はその程度なのであります。
ましてやメディアに顔を出している占い師には、番組を面白くするための仕掛けが加わりますです。パフォーマンス占い師出の私メにはよーく分かっております。

さて、
気学は、昭和初頭に園田という方が編み出した新興占いでして、底に奇門遁甲を敷いております。
奇門遁甲の、天盤、地盤、九星、八門、九宮、八神の中の、九宮だけを拾い出したので、どういう凶が出るのか判断が出来きないのは当然で、だから
『どんな悪さが出るか分からない』
というなさけない判断になるのであります。
また年盤を主に置きますから当たったようなトリックがそこに施されます。(奇門遁甲の学者諸君は、その所をよーく考えてくだされぃ。園田氏はその点をちゃんと知っていたのであります。さすが創始者であります)
生年月日を用いる場合も、生まれ年の九星を使います。とすると一白なら、その同じ年生まれの人は、全員、西なら西の方位を使えなくなりますです。
世界ではまったく通用しない占い。星占いのお遊びと同様のオショシイ占いと断定するしかありません。

易者はそうではいけません。
どういう悪さが出るから、その対処法を言わなければならないのであります。
家族で引っ越す場合は、それぞれの生年月日で差異がございます。
それを同時に引っ越せば方位上の問題が起きますが、そこをクリアさせるのが易者の腕のみせどころ。

相談者は、案の定、亭主が歯を折り、子供は皮膚病になり…と辛の象意の通りが出てしまったとのこと。

「この鑑定は時間がかかりますよ」
と前置きし、辛の副作用の消去法と、風水の問題点の解決策、そして次に引っ越す日取りと、その方位の副作用と対策、そして手順を順番に解きましたです。
また一つの45度の方位でも、実星との兼ね合いで、吉方位だとしても、その10度は凶、あるいは無作用、あるいは別作用となる場合がございます。
そしてまた、吉方位だとしても実私生活で不便な場所であるならば、その場所を捨てなければなりません。

鑑定終了して、どっと疲労が全身をまわり、その夜は11時前に就寝したことでありました。

画像はこの世の不幸が入っているといわれるパンドラを抱えた聖女でございます。