2024
02.26
「ああ、そうだった…!」
父方の祖母の墓参りを失念していたことに気づきましたです。
27年前に身罷って、命日には、毎年の墓参を欠かしませんでした。
今回のモリオカのスケジュールに入っていたのに。
しまったなぁ、と供花を片手に、雪深い墓地へと向かいました。
誰もおりません。
みんな死んでいるのに、自分だけ生きているという奇妙な不思議さに包まれました。
祖母ほどの無償の愛を、私メは知りません。
それが重たいと苦痛だったことも確かであります。
祖母が70歳の時の言葉をいまでも覚えております。
「いいか、もうこれがらはオラの言葉を信じるんではねがっぞ」
縁側で梅干しの梅に紫蘇の葉をくるみながら祖母はいうのでありました。
「もは頭がバカになってしまってハ。おかしなことを喋らんとも限らねがら」
そーしてオノ家のいろいろを語るのでありました。
雪を掘り、花を挿すと、そこだけ血が通ったよーにほのかな色に変わりました。
「たまには…」
せっかく来たのだから、祖母の話の中に幾度かでる総本家の墓を詣でることに致しました。
オノ天周禅師がいちおうの始祖となっております。
天周の残した占いの道具が柳行李にしまわれて、私メの実家の納屋にございます。
このなかの印鑑を使っております。
もし福本銭を購入された方は、福本銭を包む白い紙に印が押されていることに気づかれたかもしれません。
その印鑑が、天周の残した印鑑なのであります。
そして総本家の墓にたどり着き、鬼籍を見て、
「おーっ」
なんと天周の命日が、本日、2月26日だったのであります。
祖母の墓参りを失念したことが吉の関連性があるのだと決めつけました。
気のせいか、体内になにか強いモノが駆けめぐった熱さを感じたのでございます。
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死の扉 /
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2024
02.25
雪降る夜はムズムズいたします。
午前中から雪雲がたれこめ、それが夕方になってようやく降りだしたのでした。
春の雪ですから、晴れればいちにちで溶けることでしょー。
無駄なよーな気がいたしますが、それは人の一生も同じこと。
無駄な遠回りばかりして、それでいて報われる確率はほとんどないのであります。
それでも歩き続ける徒労さ。
私メが占いを始めたのは、そんな無駄な生き方に嫌気が差したからであります。
占いでなければマジシャン。この二択でありました。
条件は、人に使われないこと。人を使わないこと。自由があること。
マジシャンは年老いればダメになる。
易者ならボケても、それが味になるのでは…。
それで占いに決めたのですが、最初は西洋占星術志望でした。
カッコよさそーだからです。
が、教室が見つかりませんでした。
東洋占いの教室に通うことにしたのですが、なにしろ根っからの中国人嫌いですから心中は複雑至極。
が、生きていくために目をつぶったのでございます。
いくどとなく、挫折しかけました。
占いというものが基本から仮定なのですから。
世界のあらゆるものが、木、火、土、金、水という五行から成り立つという仮定に「まさか、まさか、そんなことはあるまいよ」と馴染みませんでした。
いまでも占いを生業としていることが不思議でなりません。
モリオカの誰一人として、いや、限られた数名しか、私メが易者だと正体を知る人はおりません。
そして老人になりまして、いささかボケております。
ボケが味になっているのかは分かりません。
人は踏み出した一歩で決まります。
いまでは占いに感謝しておるくらいであります。
ただ、最近、目つきがひどく悪くなっており、悪人面化していることが気になりますです。
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2024
02.24
いぜんから「結界」に対して首を傾げておりました。
ずいぶん昔のことになりますが、ストーカーに悩まされていたことがあり、事務所に結界を張り、それをストーカー除けにしました。
効果はゼロ。
ストーカー嬢は、事務所にスタスタと入り込み、
「なにコレ」
と言わんばかりに、忌み縄も、魔法陣も難なく破ったのであります。
恥ずかしながら、結界の意味が本日の酒蔵見学ではじめて解けました。
モリオカから北に50キロほどに、鷲の尾酒造の酒蔵があり、この連休中に希望者は酒蔵見学することが出来るのであります。
直前に無理に予約し、許可を得ました。
白衣に着替えさせられ、頭には白い帽子。
酒蔵の入り口でレクチャーを受け、さーて、重い引き戸から中に。
つーんとイイ香りがいたします。
そこに神棚がありました。
「どーして神棚がここにあるか分かりますか?」
一同シーン。
「それはここから結界が張られているからなのです」
担当者の説明によると、日々、作業員が、ここで酒づくりをするわけですが、それぞれ夫婦喧嘩をしたり、あるいは面白くないことがあったりで気持ちが乱れているかもしれない。心が乱れていては、出来る酒に悪い影響を与える。
そこで、この神棚の前で、気持ちを一定にさせる。それが結界である、と。
「そーだったのか」
そーか、それならば結界の意味が分かる。
言われて目が開きましたです。
あとは説明に耳を傾けるばかりでした。
試飲でもさせてもらうのかと思っていたら、大きな間違い。
酒造りの秘訣みたいなことでした。
酵母菌だの、米の割合だの、山廃仕込みと、他の仕込みの違いだの。
秋の酒と、冬の酒の違いなども。
よそでは教わらない秘伝の講義のよーでありました。
高いお酒だから美味しいとは限らないひとしか頭に残りませんでしたが、充実したひと時なのでありました。
私メはクルマでしたから、そのあとの試飲はできず、無料の甘酒とお蕎麦をご馳走になり、しかしされでは申し訳ないので、各種の秘酒をたくさん買い込み帰宅したのでございます。
これから、それらを味わうことに致します。
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