10.27
…だのに蘭丸さまはピンクのセーターに身をつつみ、お女性へと変貌していたのでございます。
「ホルモン注射を打ったばかりなのだ」
私メは自分に言い聞かせ、しかし、遠くから見つめるばかり。
きっとそーだろう、そーに違いない、種粒のよーな乳首と、ツクシのような細いペニスは、きっときっと衣服に隠されているはずなのでありました。
けれど、蘭丸さまは、もう私メのことを憶えてもいないのです。
夏前に見かけた時の、目を刃のようにすぼめ、
「なによ、あなたなんか」
とでも言うような氷のような冷酷な仕草もみせないのであります。
「恋をしているのだ、恋を」
あの小太りの男に相違ない。
私メには見せたことのない笑顔で「いらっしゃいませ」と迎えた、あの小太りの男に、間違いなく蘭丸さまは恋をしているのだ。
それは根拠のない直感でしたが、根拠がないだけに透き通るよーな確信でございました。
蘭丸さまの、か細いペニスは、あの男のスポンジのよーな掌に握られ、息の詰まる口づけを夜ごと交わしているのか。
そして、そして頬に青く伸び始めたおひげで、小男のお腹のあたりをザラザラしているのでないか。
そしてそしてそして、シェービングを塗られ、小男の肉付きのイイ子指を立てて握ったカミソリで、そのおひげを剃られているのではないか。
そのとき、蘭丸さまはうっとりと瞼を閉じているのではないか。
ああ、そのとじた瞼ごしに眼球を舐めてみたい。
さらにまた、小太りの分厚い唇によって、
ゴマ粒ほどの乳首は、いまではアサガオの種ぐらいに大きくなっているのでは。
硬い生地のシャツでは、動くたびに乳首が刺激されるから、だから、あのよーな柔らかなセーターを身に付けているのだな。
まさか、男のパンツを洗濯してバスルームに干してから、コンビニに出勤しているのではあるまいな。
乾兌離震巽坎艮坤、けんだりしんそんかんごんこん、ケンダリシンソンカンゴンコン
唱えてもとなえても嫉妬の暗い炎は燃え盛るばかり。
そして、よもや私メをダシにして、
「いやらしージジイがいるのよ」
と小太りの男の恋心を刺激しているのではあるまいな。
そして、
「たすけて、またジジイがきて写真撮られたわ」
つまり無関心を装っているだけで、蘭丸さまは、私メを意識しているはずなのであります。
レジに、カニカマを置きましたら、青年の店員が飛び出してきて、「ここは僕が」と蘭丸さまを制したのであります。
ライバルがまた一人…。
実家の坂道を登りながら、蘭丸、蘭丸、蘭丸と呼び捨てにして、心で連呼したのであります。
声に漏れていたかもしれませぬ。
雨が降ってまいりました。
>乾兌離震巽坎艮坤、けんだりしんそんかんごんこん、ケンダリシンソンカンゴンコン
唱えてもとなえても嫉妬の暗い炎は燃え盛るばかり。
ここで盛大に朝鮮人参粉末入りドリンクを吹いてしまい、なおも笑い続ける私を家族が冷たく見つめます。
主人、娘、犬、亀すらも。
そしてまだ笑いはやまず、先生が過去におっしゃっていたユキオハトヤマも加勢してきて、今ひどいことになっています。今咳がひどいので息出来ません。
●十傳より→ヤリすぎましたです。
このままですとここのコンビニにやってくる男のお客全てが先生のライバルに
なりそうですね。
コンビニに買い物に行くだけでこれ程の嫉妬心が燃え上がるなんて
さすが先生!!
●十傳より→心臓がバクバク早鐘を打ちそーであります。
先生、やだら変態ですね。
●十傳より→喜ぶかと思いましてね、たまには。
先生がいつか逮捕されそうで心配であります。
●十傳より→ご心配、ありがとーございますです。
マーラーの交響曲第5番アダージェットが頭に鳴り響きます。
マーラーの音楽のラブレターと言われる名曲でしたね。
映画、ベニスニ死すに出ていた、世界一の美少年
ビヨルンアンデルセンの顔も微かに甘い出されます
時を止めて、何やら蘭丸君に恋焦がれる小野先生
幻想的な妄想タイムに乾杯
●十傳より→たまには占いを離れましたです。
小野十傳先生・さりげなくカニカマがコンビニフードでも安く美味い事実かヒカル文面ですね!
●十傳より→お気づきありがとーございます。
>青年の店員が飛び出してきて、「ここは僕が」
往々にして、この手の邪魔者が入るんですよね
それにしても蘭丸君、コンビニ勤務が長いですよね
うちの方のセブンでは半年くらいで人が変わってしまいます
即刻変わって欲しい奴もいれば、全然変わって欲しくない人もいますです
●十傳より→住み心地が良いのでありましょう。
最近よい所がわかりました。小太りな男性って真面目で機転が利く。
●十傳より→必死で頑張るところも。
最後死なないで下さい
●十傳より→もう死んでます。
聖天様にお願いしたら本当に6億当たった。
●十傳より→もう仕事も占いも聖天も必要ありませんね。