05.22
満天星の異名を持つドーダンツツジ。このツツジがドーダンなのかはさておき、五月晴れの小道が満開に飾られているのでありました。
お女性であれば、かぐわしい年ごろ。
「みてよ、みてみて」
初夏の街を彩る透明なお色気は、この季節ならではのことかもしれませんです。
流行りのレース柄のワンピにヒールの高いサンダル。
エステでみがいた白い腕がまぶしいのであります。
近頃は「女性の地位向上」とか「セクハラ反対」など無粋な流行が横行しておりますが、私メの若い頃にもありましたありました。
「中ピ連」だの「男女雇用均等法」などの掛け声に同調してケンカ腰でせまってくるお女性が。
「安保反対」「成田闘争」「賃金UP」などなど。
結局ははやりが過ぎればなかったかのように鎮まるのであります。
そして、
「政治に利用されただけか」
髪の毛を撫で、ガラスのような顎先をもちあげ、その手を離しこれからピアノを弾くぞ、みたいにテーブルに指を並べると、
「どうしたの?」
「セクハラしよーかと思いまして」
指で音符のない曲を叩きますと、
「?」
「どーぞ、おさきにセクハラしてください、ぞんぶんに」
「……いいの」
いいのいいの、手加減せずにどこからでも。
ベッドの上で、うつ伏せのお女性のお尻に顎をはさみながら、指でつま弾きますと、あひゃひゃひゃひゃとピアノが鳴り出しますです。
まばゆい日差しの白日夢です。
「たのむよ、セクハラを」
そうそうそうだったね、お女性は思い出すのです。お女性はなまけもの。
「けんこうなアナルよね、ムカつくムカつく」
あひゃひゃひゃはコチラの番。
「じゃあ、これは、ねぇこれはこれは」
わっわわわわっ、かきくけこ! と大悶え。
ツツジの咲く小道の果てに、梅がひとつ転がっておりました。
春一番に咲いた梅の花の結実でござましょう。
もういちど花に戻ってあそびましょーよ。実になったからって、そんなに威張らずにさ。
薄い下着をつけて、荒れた指だと生地がいたむほど、なめらかな上着をまとってごらんよ。そーして、梅はカクテルの底に沈めて、お酒ごしにこちらを見てごらん。
痛くしてあげるぜ。泣かせてもあげよう。苦しいか、苦しいだろう。沁みるだろう、傷がうずくのだろう。
「さぁ、ぬぎなさい」
セクハラを楽しむ余裕は、恋を三倍楽しめる扉を開ける鍵かもしれませぬ。
セクハラは政治用語。ゆめゆめ罠に陥ってはなりませぬ、なりませぬ。