2020
09.13

暑さしのぎに立ち寄ったカップヌードルミュージアムで買い求めたカップ麺の封を切ったのであります。
なかなかのお味でございます。

カップ麺は、1970年代初頭に誕生したのでは…と記憶しておりますです。
お湯を注ぐだけで食える、前代未聞の発明品でありました。
しかも当時は、透明のフォークが付いてきまして、それですくって食うのでありました。

ラーメンではなく、ヌードルであることを、フォークが象徴している如しでございました。

が、欠点は、お値段。

袋麺が30円の時代でありまして、100円のカップヌードルは、とてつもない贅沢品なのでございます。何かの記念日でないと、
「ちょっと…」

卵を入れ、麺と卵を食い終わった汁に、ふたたび卵を投入し、
「栄養がついたから大丈夫だ」
などという食い方もございました。

さて、世は、カップ麺派と、袋麺派に分かれておりますです。

麺だけでなく、すべてが何となく二派がございます。
陰陽を論じたいわけではありませんが、昼派と夜派。夏好きと冬好き。心理学派と占い派。東洋医学と西洋医学。与党と野党。
いずれでもないお方にとってはどーでもイイことなのかもしれませんが、両派は永遠の意地張りがあるよーにも見かけられます。

私メは大の中国軽蔑派であるのに、やっていることは中国占術。
なさけない葛藤が体内に潜んで居る次第であります。

が、最初の分かれ道の一歩で、運命が決まることは間違いありません。

で、私メは袋麺派なのであります。

カップ麺も袋麺も好んで食べた一時期はございましたけれど、現在は、完全なる袋麺派なのであります。

ごくたまに、飲み屋などで、
「わたしはカップ麺」
「ぼくは袋麺」
と、意見が対立する微笑ましい論争があり、しかし、
「カップ麺派のお女性とは親しくなれないな」
「わたしだって袋麺派のケチとは付き合うものですか」

袋麺派から言わせてもらえると、袋麺派はいろいろなバリエーションを楽しめるのであります。火加減からはじまり、固焼きそばや、つけ麺も作れるので楽しいのであります。

「毎回、そんな工夫をしているんじゃないでしょう、バカみたい」
のひと言で沈没してしまいますけれど、やはり袋麺を選んでしまうのであります。

この先も、様々な即席麺が登場しては消えていくのでございましょう。

日清や明星などの出す新発売の麺の奥底で、1960年代に誕生した各社の即席麺の原型ともいえるスープのお味がかすかに生きていることに懐かしさを覚えるのでございます。