2020
09.08

大きな秋鮭が届いたのであります。
「今年も秋か…」
暑さは続いておるものの、猛暑の中に翳りを感じますです。
夕方は日没も早くなりましたし。

早速、鮭の解体、三枚おろしをすることにいたしました。

釣りに凝った一時期がございました。
あんなに熱中していたのに、あっさりと熱が引いたのは、どこかの本に書かれていた「魚との勝負」
を目にしたからでありました。

勝負などあるわけがない。魚を殺しているにすぎない。

最後の友人で故人であるサイにそのことを言うと、
「魚は人間に食われるためにあるのだ」
そういう意味のことを言い、私メに、「占いをすると坊さん臭くなるのか」と軽蔑のまなざしを向けたのでありました。

たしかにいちいち命の事を考えていると、肉も刺身も食えなくなりますです。

「おおっ、イイ鮭だ」
頭部と尾ひれを切り離し、包丁をサクッと差し込んで、身をはがしていきます。
するともう、命のことは頭から払われ、こんどは、お女性の肌の触れるかのように繊細に、大胆に、包丁の刃で引き裂いていくのでございました。

最後に頭蓋を真っ二つに割りまして、粗塩を振りかけるのでございました。

あとは炙って、新潟のお酒といっしょに、いただくのみ。

そして、今年を振り返るのであります。
疫病が横浜に横付けされた客船に蔓延したのは、あれは3月だったか、2月だったか、もう思い出せないのであります。
4月ともなると東京から外国人の姿が変え、東京駅は信じられないほどの殺風景。

1か月間の休眠に入ったのは、その頃でした。
十傳スクールも本格的なリモート講義に切り替えざるを得なくなったのでございます。

長い雨の期間を経て、梅雨明けと同時に気温は上昇し、祭りのない静かな真夏が始まったのでございます。

しかし、この半年の記憶が薄いのはどーいうわけでありましょーか。

モリオカに毎月マイペースで戻っておりまして、でも、それは去年以前も同じでしたから、記憶のあいまいさの原因にはなりませんです。

「…お女性かも」
疫病の影響で、蜜になる機会が…。

コレなのかもしれません。

ボヤボヤしていると、本当の役に立たぬジジイになるなぁ、と思いつつも、このよーな時代も悪くない、そうして気づいたら、盆栽の大切な一枝を剪定ばさみで切り落としていることになったとしても。