2023
05.31

モリオカから空しく関東に戻ってまいりました。
「空しく」というのは、数年前から、山葡萄の蔓で編んだカゴをさがしているのであります。
ちと高価なものでして、市内にも取り扱っている店がいくつかございますが、
「これだ!」
ピタリと心を直撃する逸品が見つからずにおります。

この日も、「もしやあそこには…」とクルマを飛ばし、秋田新幹線が停まる駅に向かいました。
結果は空振りでありました。

見つけようと頑張ると、こーいうものは見つかるものではございません。
男女の出会いと、それは似ているのであります。
いまは「見つかったら困る」とか「それどころの状態ではない」という時に限って、忽然と姿をあらわすものであることは、重々に分かっているつもりではございますが、ついもがいてしまうのでごさいます。

イタリアの或る港町に旅行した時もそーでございました。
その時は、ショーケースに「欲しい!」と目を奪われるルーペを発見したのでありました。
人魚が海老ぞった円形の鉄製のフレームにレンズが組み込まれたルーペでございました。
「これで人相を見たら楽しいだろー」
しかし、店員はおらず、通りがかったイタリア人に片言で尋ねたら「ここは、たまにしか開かない店だ」と聞かされ断念いたしました。

今回も、諦めました。
で、腹も減ったことだしと、駅前に一件しかないラーメン屋に立ち寄ったのであります。
そこで注文したのが、画像のラーメン。
よしゃれラーメンであります。

よしゃれとは、世を去るという意味。しゃれーっ!の言葉は、たとえばスキーで直滑降をするとき、邪魔になる奴らを上から、「しゃれーっ(どけどけ!)」などに使う命令形であります。
ですから、世去れとは、死ねーっという脅し文句でございます。

死ぬほど美味いはずです。はずなのでした。はずでなければならぬのでした。

店はオヤジとおふくろ。それに多分、長男であろー青年が営んでいるのでありました。
カラ元気をだして働く青年の夢と未来のためを思い、本当のことは書けないのでございました。