2023
10.17
10.17
無人の実家の門の扉の鍵を開けました。
シーンとして、聞こえるのは落ち葉が秋風にもてあそばれる乾いた音のみ。
しばし昼寝をしていましたら、インターホン。
どこかのジジイが門前でニヤニヤしていました。
「誰だ!」
不機嫌に応答しましたら、「テルイだす」
思い出すまでしばしかかりました。
小学校の三つ後輩の、同じ子供会だったヤツでした。
門に出ましたら、
「いーい、いがら、いがら」
と門の外での対応で十分と門扉を開けなくてイイと手で制しながら、「これ」と画像のキノコを手渡してくれるのでした。
「いるがと思って。電気が点いていたがら」
テルイ君はイヤに老けて、もう80代ではないかというほどヨボヨボ。
今朝、山に入ってキノコ採りをしてきたとか。
新聞紙を広げ、キノコを乾燥させるのでした。
採ったばかりのキノコには、白い小さな虫がついているのであります。シダなどの葉もくっついているのであります。
テルイ君は上級生によくイジメられ、私メがかばったので、むかしから変に馴れ馴れしいのであります。
上級生に鉈を振りかざして追いかけていったことを忘れず、以後、マスコット的に可愛がっていましたけれど、その馴れ馴れしさは、いまでも変わっていないよーであります。
それにしても、皺ばかりの汚い老人になったものであります。
私メのロン毛を、羨ましそーに見ておりました。いや、呆れたよーにかもしれません。