11.21
この数年、私メは夜のモリオカで、あるお女性の消息を尋ねていたのでありました。
「彼女、死んだのよ」
彼女と幼馴染のママ殿がいいました。
店内には、奇妙な偶然か、♬髪の長い女だって? アンタあの娘に惚れてるね♬ という懐かしい曲がカラオケされておりました。
「さいきん、知ったのよ、あだしも」とママ殿。
去年は超えられない命だと四柱推命は語っていましたから、「やっぱりか」と不思議な安堵感がございました。
もう、彼女の行方を追わなくてイイのだと。
病気におかされ、行方知れずになった彼女、10代の頃から知っていたセッちゃんというお女性を、私メはずっと気にしていたのであります。
死んだと聞かされ、双眼鏡を逆さからのぞいた感覚に陥ったのであります。
詳しくは申しませぬが、大運で彼女の用神が破壊され、年運で財運が抑えつけられておりました。
「あのね、ついに車椅子に生活になったぁ」
これが、彼女との会話の最後。10年前のことでございます。
「飛び降り自殺も出来なくなったワケだ。不自由だろう」
「そうなのさ」
27歳で発病し、それまでは誰もが振り返るお女性でありました。
いちじはモリオカ、イイ女の10指に入っていたとか。
「男たちの生霊じゃねのか」が、私メの彼女に対する最後の言葉でありまして、それはそーいう理由があったのでありました。
が、私メは彼女をオンナとして見たことはなく、「昨日、三人にナンパされたおん」とか「そのうぢ、オノ君もわたしに惚れるわ」などと気軽な関係だったのであります。
発病してから、病気はさまざまな形で彼女を襲い、両親が死に、夫が逃げ出し、最後には介護をしていた息子も行方不明。
彼女の実家は廃屋と化し、病棟のベッドで息を引き取ったとか。
それらの悲惨は大運が物語っております。
大運には順運と逆運がございまして、もしも順運だったならば、その人生は華やかな男運が途切れずに咲いていたはずであります。
いつだったか「奇門遁甲って、わたしに使えるかな」と訊かれたことがございます。まだおぼつかないまでも歩行が可能だった頃でした。
コンサートに一緒に行き、ところが帰り際、観客が去ってもセッちゃんは座席から立ち上がれず、私メに手を伸ばした時のことでありました。見られたくない姿を見られてしまった表情で「奇門遁甲を」と誤魔化したのかもしれませぬ。
「モテモテだったセッちゃんも、こーなってしまったか」
と手を引き上げたのでした。病魔にむしばまれた死臭に似た吐息が私メの鼻を突きましたです。80歳過ぎの老婆のよーな皺も病魔のなせる残酷でございました。地獄から引き吊り出した思いだったのを記憶しております。
「あとで調べとくよ」
結局、奇門遁甲をほどこす前に、彼女との音信は途絶えたのであります。私メだけでなく、すべての知人との関係もみずから絶ったよーであります。
奇門遁甲で生年月日や大運を変えることが出来ると秘伝書には記されております。が、実際はたとえば胃がんを胃潰瘍に軽減するだけのものであります。それでも本人にはかなりの光になることでございましょう。
酔えない酒を飲みつつ、カラオケで賑わう店をあとにいたしました。
実家の部屋で、彼女の生年月日を調べ直しました。死期を告げる赤い矢印は今年の1月に集まっていたのでありました。
「セッちゃんと最後にデートしたのは、自分ということになるわけだなぁ」
ため息をついた、その直後、携帯が鳴りました。
「ここにも羽根から血をながしている鳥がいる……」
窓ガラスには夜の雨の筋が数本、ななめにはしっておるのでございました。
11/22青竜返首を実行しました。さて、11/27に丙奇得使があります。×がついてますが、使っていいですか?
●十傳より→鑑定になりますですよ、それは。
小野先生!ナイス・アンサー!(^^)
●十傳より→へへ。本当の常識というものでありますれば。
切ないお話でございました。と、言葉で片付けてしまうのは簡単なのですが、読後に、記憶の奥底に澱のように沈んでいたやりきれなさが、水煙のように立ち上ってくるのでした。
よく「人生の岐路に立つ」と申しますが、出来事の殆どが、実は予め決まっていたことであり、占術を用いて不幸の程度を変える事すらも「決まっていたこと」に含まれるのかどうか、今もって不明なのであります。
一体、人生って何なのでしょうか?
あの日、夜雨の筋に重ね合わさる先生の表情はどんなだったのでしょうか。
●十傳より→「健康」もまた欲望の一つとは申せ、さぞ、くやしかっただろうと思うのであります。人生はジャングルでございますですね。
お世話になっております。
泣けます。しかし最後のデートが小野先生で良かったと思います。運命の残酷の刹那にも先生の手に引き上げられたそのお方はきっと忘れられない思い出であったでしょう。変えられない生年月日の周波数も、新たな奇門遁甲の周波数で変えられるかもしれない。惜しむらくは、縁があるか、使う時が残されているか。
白濁の湯のヘリに寝ソベリながら濁天に霞む月を睨み次のヒントを得ておりました。これからモンジャでも食べます。引き続きよろしくお願い申し上げます。
●十傳より→食えるうちに喰い、たれるしかないのであります。
お世話になっております。
大人ですなあ。なんかそういう関係もいいなあ。哀しいけど血潮を感じますわ。こちらは竹ちゃんで夜食。ポニテの店員に癒される純朴です。が、今、帰った(笑)今日は隣のショットにもハシゴしちゃおうかな。あと、4日で家相セミナーですね。今週楽しいです!
引き続きよろしくお願いします。
●十傳より→準備でけっこう走り回っておりますです。
病気によって変わり果ててしまった美しい女性の姿を目にし
そして、その女性の 死 を耳にした時、どんなにか辛かった事でしょう
神様は 美しい姿 と引き換えに 「健康と幸せ」 を
その女性から奪ったのかもしれませんね
先生の心の中では 今でも盛岡1の美しい女性として生き続けてほしいと思います
●十傳より→私メのモリオカ1は別に存在いたしますですよ。あくまでモリオカという範囲の中ですけどね。
せっくすのたいいをかいて
●十傳より→自分の才能がなさに気づいておられるよーで。アーメン。。
逆運の女性って ひと癖あるんですか?
特に美形は、男をその気にさせるだけで、腹の中ではアカンベーみたいな
セッさんのご冥福をお祈りします。
十傳より→順運、逆運は性情には関係ありませんです。その人の生年月日に良い時期、悪い時期が到来する順序であります。