2011
06.17

焼酎を買いに裏通りを自転車で走ったのであります。
途中で出そうと封筒をもっていました。

このようないにしえ調のレトロなポストを見かけました。
しかし封書は請求書であります。
本当に郵便配達員が扱っているのか疑ってしまいました。
ただの飾りとして設置しているにすぎないポストではないかと。

いぜん私に語ってくれた、占いの師匠の言葉を思い出しました。
「六十歳過ぎの者の話をまともに聞いてはいけない。人間は六十を過ぎるともうボケがきている。だから還暦というのである」
ポストを見ているうちに、その言葉がおもいだされたのであります。

六十歳をすぎなくても、人間には現役をリタイヤする時期というものがあるように思えるのであります。
生活のために働くのは仕方ないとして、大きな目標を掲げるのは老人としては滑稽というか醜いような気もいたしますです。

なかには年をとっても「まだまだ現役」とか「これから青春!」と張り切る人、とくにオバさんに多くみられる現象で、私のように老人を決め込んでいると、背中をどやしてくる方々であります。
そういう風景も、ずっと以前にどこかで見た老人会の風景であります。
老人の性とはまた別の問題として、五十にもなったら枯れることを考えなければなりますまい。
五十にもなって若づくりすることは考えモノ。

などとポストを眺めつつ思索するのでありました。
そして投函するポストは、やはりもっと新しいポストにすることにして、老僕のポストを後にしたのであります。

その数分後、せっかく買った高級焼酎を路上に落として割ることなど、この時には思いもよらぬことなのでありました。