2011
10.26

季節はずれの熱気をさらっていく風を感じていたら、夜のドライブをしたくなったのでありました。

雰囲気を察したのかジョルノが膝にきましたので、そのまま階下まで抱え、バタムと車のドアを閉めたのでございます。

ジョルノは病弱でありますが、気の強いところがみられ、雷が鳴ろうと平気であります。

大きなイヌと遊ばせると、交尾するようにバッグをとるのであります。
去勢しておりますから、その名残は多少はありますでしょうが、それよりも自分の強さを誇りたいという野性を感じられるのであります。

ロメオのように甘えることなく、ドライブ中は膝の上で前方をにらんでおるのでございました。
弱いくせに負けん気が強く、だからいつもイジメにあう小学生のようであります。

人には与えられた運命というものがございます。
その運命に純粋に生きていけば幸せを得られるのであります。
ところが妙なモラルや自意識が邪魔をして、純粋さを濁してしまうのが現実であります。
たとえば、もみ手をしてゴマをすることで出世するタイプがあるといたします。場合によっては経営者に野次られ、頭を小突かれても「ありがとうございました」とばかりニコニコすることで、経営者に可愛がられ出世するのでございます。
ところが、ある日というか、年回りが悪いというか、自意識に目覚めたりいたします。「オレも男だ、プライドを持とう」などと、勇ましい態度に変わるわけであります。
その態度は、運命に忠実ではございませんので、濁った生き方ということになりますです。
経営者にちょっとでもタテつくことになるでありましょう。
そこで「生意気な奴め、可愛くないぞ」ということになり出世は終わりという結末を迎えることになりますです。

いや、生き方はいろいろあるだろう、プライドを捨ててまで出世することはないと思われるかもしれません。
しかし、その男の生年月日にとって出世することが幸せの主たる柱だったとすれば、将来の道を断たれることは死ぬほどの苦しみということになるのであります。

「いろいろだよなぁ、運命は」
とジョルノを膝にのせつつハンドルをあやつるのでありました。

ふたたび、自宅のガレージにもどると、
「何のためのドライブだっのだ?」
とジョルノは、不可解な顔で私メをみあげるのでございました。

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