2024
03.31

十傳スクールの、丁奇造作法と、天文六壬神課占術の印刷と製本を終えると、事務所には夕闇が迫っておりました。

はげしい疲労に、鏡を見ると、そこには死相をおびた一人の老人がうつっておったのであります。
帰れば良かったのてす。

が、肉体は限界でも、精神がひどく高揚しておりまして、ふと最初の事務所をおいたあたりの下北沢をうろつきたくなったのでございます。

30年ほど前とは様変わりして、若者たちのオヒャレな街に化しておりました。
駅からつづく歩道には、美味しそーな店がいくつもつらなり、恋人たちが澄ましてくつろぐスポットなのでありました。

することもなく、レストランを眺めておりました。

レストランは私メから左側下にございます。
が、レストラン側から見上げると、私メは右上に位置しているはずであります。

奇門遁甲には、最終的な奥義がございまして、それは実星を遁甲盤にかぶせて判断する方法であります。
たとえば東の45度方位が吉方位だとしても、そこに月とある惑星が凶の座相をスパークしていれば、その10度は例外的に凶方位になってしまうのであります。
いや、凶方位というよりは、吉方位が無効になることもあり、逆作用したり別作用に働いたりするかもしれません。

その時の見方は、実星を遁甲盤にかぶせる際に、東ではなく西をみなければなりません。
つまり、レストラン側から私メをみて、私メが右側にいるというのではなく、私メから見た左側で見ることになるのであります。

頭が狂いそーになりますですが、これは以前、奇門遁甲NEXT科で講義したことがございます。

高揚した精神が、さらに発火しそうになり、行き交う若者たちは、発狂ジジイを遠巻きにして通り過ぎていくのでありました。