2016
02.11
02.11
私メは家の鍵や部屋の鍵をチェックするのでありました。
もしや、これは中国窃盗団の仕業ではないかと直感したからでございます。
ドロボーしようと事前にその家を偵察する窃盗団は、おマジナイとして軍手を落していくものでございます。
以前、神保町の事務所のある雑居ビルのエレベータや舗道に軍手が落ちていたことがあり、数日後、私メの事務所をのぞくすべての部屋がビルあらしに遇ったことがございます。
かえって警察に疑われましたが。
じつは、本当は軍手の下に人糞を置くのが正しい方法であります。
むかし、金持ちの家では塀の内側に番犬を飼っていたものであります。
その番犬を臭いで飼い慣らすのが、この方法の目的。
窃盗団は塀を乗り越えても、番犬は吼えないというのであります。
これを遁甲の講義の際に教えられたのでありまして、調子に乗った私メは、
「奇門うんこーですね!」
と申しましたら、大先生にギロッと睨まれたのでありました。
ジョークの効かないお方でございました。
とりあえず日本刀を寝室に、ロープもいっしょに準備いたしました。
不審者を見かけたら、たとえニッポン猿民族だろうと容赦はいたしませぬ。庭木に逆さずりにして、手足を五寸釘で固定しても面白ろかろうと、こころはギラギラしております。
なんども窓から顔を出し周囲を睨んでいるのでございますが、夜は静かに更けるばかり。星がきらめいておりますです。誰もおりませぬ。が、ぜったいに、どこかに隠れていることは間違いありますまい。
今夜は、とっ捕まえたヤツをどのようにしてやろうかと処置の妄想にかられ寝られそうにありませぬ。
その大先生の御命日は金持ち前夜祭の翌日なのであります。