2022
12.09

廃屋の庭で、今冬も南天が結実しております。
前を通るたびにフェンスを乗り越えて、廃屋の家相をしらべたい衝動に駆られるのでございます。
とくに冬は蚊などもいないでしょうし、チェックするには申し分ございません。
ドロボーがズボンにくっつくかも知れませんが。

どんな人が住み、どんな会話をしていたのか。
おセックスもしただろうが、それはどの部屋なのか。
きっと傷跡だの落書きも残されているかもしれない。

岩手県に松尾鉱山という廃鉱がございまして、昭和の中頃までは1万人が住んでいたというマンモス団地がございます。
すでに朽ち果てておりますが、団地の跡は残されております。
いつぞや忍び込んだことがございます。
ホールには昔の映画のポスターなどが剝がれながら破れかけておりました。
ある部屋から、松尾鉱山ニュースなる新聞をみつけました。一部ではなく、3年分ほどが綴じひもでくくられておりました。
「几帳面な人もいたんだなぁ」
持ち帰り、丁寧に保存しております。

廃屋というものはどことなくエロチックでもございます。
忍び込んだら、きっと脊髄をくすぐるような背徳感を刺激するかび臭いニオイに包まれるのだろう。

仕事の合間に、どーしてもこの廃屋の前を散歩してしまうのでございます。