01.05
段ボールから、ぞくぞくと過子さんが現れるのでありました。
「ムッシュー通信」のバックナンバーのすべてが出てきたのであります。
アルバイト先のダイナブックを使って打ち込み、早朝出勤して、そこのプリンターで出力をした、むかしむかしの思い出がよみがえりましたです。
執筆陣は、小野十傳、枯野十三郎、バンビマキ、井上象山などなど、それから、リリアン・ダニエル女史…。
私メ以外は、すべて架空の人たちであることは、前にも記したとおりであります。
懐かしいお女性に再開したよーな、愛憎をこえた気持ちにさせられるのでありました。
「どーしたんだい、いまごろになって顔を出すなんて、ずいぶん探したんだぜ」
なんて拗ねたい気持ちもございます。
「おまえだって、そーだと顔に書いてるよ。女の意地かな?」
A3用紙2枚で、中折して、8ページ。作成に2日はかかったことでありました。
これが、唯一知り合いのライターさんが読み、
「リリアン・ダニエルって、変な名前だね」
電話がございましたのは3月。
「どこにいる人?」
「たしかニューヨーク」
そして5月に、「KKの編集の人に見せたらさ、面白いから会わせろって」
連休後に新宿の料理屋で会ったのでありました。
この時ほど、酒が強い自分を褒めたいことはありませんでしたです。
若いのに彼が編集長だと知りましたので、遠回しに、占いの世界のなかから魅力的な話題をながしては、
「まずまず」
とお酒をお注ぎするのでありました。
「ムッシュー星座協会には、何人の登録者がいるんですか?」
「20人ほどかな」
すでにお銚子は10本。
他にも女占い師がいましたが、完全にリタイア。ライターさんも真っ赤か。
「本を出しましょう!」
彼はいきなり気勢を上げました。
「まずまず」とさらにお酒を注ぎ足しつつ「ここはお酒の場ですから…」
必要以上に食いついてはいけませぬ。
お尻はむずむずしていたのですが。
釣りをするとき、小魚はすぐに食いつくものです。が、鯉などの大物は、浮きを揺らすだけの微妙な反応を示しますです。酔っていましたのでしょう。自分を大魚と見せたいわけであります。
しかし、心は、
「離してなるものか!」
ソレでありました。
帰りは、財布に3000円しかなく、電車は大船までの終電。タクシーで3000円分だけ乗り、徒歩で帰ったのでありました。
本が出ると最終的に決まった時、それはムッシュー通信の役目が終わった時でした。
過子さんよ、たまには、こうして交わるのも、楽しい夢をみている気分にさせられますです。
こうして再会が重なるということは、ひとつの区切りで、次のステージに移る暗示かもしれないと、なんとなく感じるのでありました。
平成も、もうおわりです
●十傳より→人為的なものなので何も感じませんです。
過去と現在。
途切れていた訳でなく、昔と今とつながっているのに
忘れてしまう。まるで初めて見るような。
自分の人生なのに、不思議です。
時の流れとは残酷なのか、ありがたいのか。。。
●十傳より→お金で買えないのは時間だけですね。年号は、ずうずうしくも時間を自分のものにしようとするタクラミであります。
今も昔も権力者は最後には時を自由に操りたくなるもの
なのですね。
●十傳より→ですね。
白人の西暦を使うのも癪なのです。
今年も自分にとって良いとしとなりますように。
●十傳より→この世に観光に来た旅行者だと自分を偽るしかございませんです。