2012
11.19

ガラにもなくステレオイヤフォンで古いカンツォーネを聞きながら散歩したのであります。
「死ぬほど愛して」というヤツ。SINNO ME MOROでありましょうか。

とある年代物の屋敷は枯れ葉がはらり。夏の間は木の葉で隠されていた屋敷がのぞいております。

カンツォーネというヤツは、夏の昼下がりのイメージを脳内に繰り広げてくれますですが、しかし、枯れ葉を眺めておりますと、来るべき冬が想像され、過ぎ去った夏のことなどはいっこうに頭に浮かびませぬ。

「男は過去の想い出に浸り、女は未来を見つめるの」などと、聞いた風な耳にいたしますが、それはどーでありましょうか。

このブログでも私メの過去の濁情が多々記されております。
しかし、過去のこと以外に語るべきことがありますでしょうか。

いま好きなお女性はですね…なんて書けませんし、「来年はこんな恋を求めています」などと、読んでくれるお方以前に、私メが先にしらけてしまうのであります。

過去の話は男のサービス精神なのであります。

クラスメイトで、その昔、グループサウンズに熱狂していた女子かおりましたから、再開した時に、
「テンプターズの歌でもうたってよ」
とサービス精神でせかしましたら、
「いまは嵐なの。大野くんっているでしょう」
と返されました。

テンプターズでも嵐でも、男にとっては同じであります。
が、せっかくむかし話をしているのだから、気持ちをGSに戻しても良さそうなモノ。

あるいは、「これ、息子の絵画展のチケット。見てきてあげて」などと差し出すお女性もいて、受け取ったものの「はぁ」と生返事するしないのであります。

男どもだって未来志向であります。
「こういう仕事を計画しているんだ」
「若い女とつきあっていてねぇ」
「来春はローマに滞在する予定だよ」
など。

しかし、それを語って何になるのでありましょう。

過去の出来事を探り、そこで相手との接点をみつけだすのが会話を盛り上げる手段と心得ているのであります。

私メが劣等感のあるお女性を好むのは事実であります。
自分を過大に売り込むような前向きのオナゴさまは美人でも敬遠いたしますです。

しかし、これから、いちどで良いから、だれかを死ぬほど愛してみたいのであります。
すでに体力も気力も失われているのですけれど…。

ふと、
NHKの、森本氏はチカンで逮捕されたあと、どうしているのかと切ない気持に襲われるのでありました。