2014
03.07

日記というもので日々を記録しなくなってずいぶん経つけれど、机の抽斗の奥から、1972年の手帳が出てきたのでありました。

赤面するような内容で、ぜったいにお見せできませぬ。

が、見返しますと、現代では信じられないようなことが記されておりますです。

たとえばパチンコ屋に入ったら、そこで体育の教員と出くわし、「秘密にしておいてやるから」とパチンコの玉を半分取られたことや、深夜にオートバイで秋田県境の国見峠まで駆け、レストハウスの窓ガラスを次々に割ったというような、記憶からごっそり抜けおちているようなエピソードが満載しているのでありました。

恥ずかしながらも「ああ、そういうこともあったなぁ」と感慨深いものでありますです。

いまの高校生ならば退学では済みますまい。

このような記録は、しかし占いを学ぶ上では良き資料となるのでありますです。

四柱推命では、大運や年運と照らし合わせることも可能であり、用神の喜忌の取り方も分かりますです。

旅行を記したものであれば、奇門遁甲で、その日、その時の方位を調べることも可能であります。
その結果は分かっておりますから、「やはり青竜逃走の方位は凶現象が出るのだ」などと。

そして、面白いことにも気づきますです。
友達を変えたというか、仲の良かった友達と険悪になり、友人関係が消滅した前と後を比べると、前は凶方位ばかりを使っていたのに、その友達と決別した後は、吉方位を使うことが多くなったなどであります。

むろん、方位など知っているはずもありませんです。

人間関係によって運気が変化するということの自分なりの証明にもなるわけでございます。

人生はギリギリのところで上手くできているようだとも思うのであります。

古い手帳から、ポロリとこぼれたものがございます。
花の残骸でありました。
「あのときのヤツか…」
あの時、記念にと花を摘んで、その花を持ち帰り、手帳にはさんでいたのが、このように得体のしれないものに化していたのでありました。
「わだしね、思っているような女でねよ」
その言葉がふと耳の奥から聞こえたような気がしましたが、すぐに記憶の波にのまれるのでありました。