2024
02.23

神社の境内には誰もおりません。
社には鍵がかかっておらず、扉を開けましたら、
「おぅ!」
楽しいご神体がぞろぞろと並んでいるのでありました。

「まほろば。まほろば」
口をついで出てまいりました。

ご神体のために、多くの争いがおこります。
愛する者のために垣根をつくり領土を守りますです。他者を排斥し、戦争を始めるのであります。
お女性を敵に奪われ、子女を殺された男たちは戦意を喪い、自分を責めるのであります。
敵の男たちに抱かれたお女性は、もはや元の男に帰る気持ちを喪いますです。

この神社のご神体を、何百年も前から、いったいどれくらいの男たちが崇めたことでありましょー。ニヤニヤと肘で、隣にいるお女性の脇をつついたことでありましょー。
彼らもやがて老い、死んで、その子供らが成人して同じことを繰り返してきたことでございましょー。
そして、これからも繰り返されるのであります。

郷里におりますと、忘れていたことが、ふと甦ります。
「大丈夫だ、オノちゃんのタネじゃないから」
17歳の時、ちと問題を起こしまして、私メはお咎めなし。
相手のお女性は女子高を退学。
ゴタゴタがありまして、それから三か月後に、そのお女性と再会しましたら、ハラボテになっておりました。
その時の彼女の言葉が、コレでありました。

けっこうグザッときました。
しかし、それ以上の安心と開放感。
「最低なちっぽけな男だ、おれは」
なんて考えこんだりしたのであります。

その彼女も生きていれば、すでに老女。
歳月とは何なのでございましょーか。

扉を閉め、社を後にしたのでございます。

まさか、私メが易者になっていよーとは。
人生は面白いものでございますね。

途中、きゅうに便意をもよおし、スーパーのトイレで私メのご神体を捻じり出したのでございます。

 

 

  1. 立派なご神体ですね。
    加齢にもかかわらず、嫁さんにチョッカイかけたら、ムンズとつかまれ、「ぜんぜんアカンやん」とダメ出しを

      ●十傳より→それは残念。もう嫁さんとだけはしないと誓ってくださいまし。