01.10
まる一日ＰＣに向かっていまして、それでは健康に悪いとおもいまして、寒い夕暮れの茅ヶ崎を散歩いたしました。
ある古本屋の店先で、女店員が缶コーヒーを飲んでおりました。
夏ころから、そのハゲオヤジの古本屋で働いている、三十代の初めのころかと思われる美女であります。
この古本屋に似つかわしくないほとの美女なのであります。
正直、このお女性が気になって、古本探しに没頭できないほどであります。
スタイルも申し分ございません。
つられるように店内に入りました。
かようなキネマ旬報が100円で売ってましたから、まずはそれを確保して店内をうろうろ。
珈琲をすすり終えた女店員は、本を整理するのでありました。
じつにきびきびと働きます。
何度か目があいしまたであります。
私メはだいたいのところは知っておるのです。
飲み屋で、偶然に彼女の話題を小耳にはさんでいたからであります。
「あれで男っ気がないんだってよ」
「あれ、後家さんじゃないの？」
「後家さんってお前古いよ。バツイチだろう」
てな具合に、彼女がいちど離婚したかどうかはともかく、浮いた話が一切なく、なんどか誘惑しようとしても落ちなかったということなのてあります。
か、合わせた目の色からは、けっして男を嫌っている様子ではないとも感じたのであります。
おお、渥美マリ。懐かしの映画「でんきくらげ」。
しばらくいたしますと、本立ての奥で奇妙な音がするのでありました。
ずずっ！ずずっ！（ねこん）
ちかづきましたら、音の主は、その美女店員でありました。
ネギっ鼻汁をすすってはゴックンしているのでありました。
私メの存在に気づかないはずはないのに、ずずっと吸っては、ネッコンと飲みくだすのであります。
男が出来ないわけであります。
こういう行為は男がもっとも嫌うのであります。
理屈ではございません。
こういう行為がくクセになってしまっているのでありましょう。
ずずっとお女性が鼻汁をすすった音を聞いていたら、つられて、私メも空鼻を飲みこんだではありまぬか。
「ああ、もったない、この癖が男運をダメにしてるワケだ」
おもわず呟いてしまいました。
本人は無意識なのでございましょう。
が、男はおろか他のお女性にも敬遠され、ついには同僚のいないこの古本におちつき、日々、缶コーヒーを鼻汁とともに吸っている生活に安住しているのかもしれませぬ。
それにしてももったいない話であります。
男かいないお女性は、この美女店員と似たようなことをしているに相違ないのであります。
知り合いで（決して友達ではありません）、なかなかの美人さんがいます。
スタイルもグーで、彼女を嫌いな男性はいないと思います。
人当たりも良く、気さくで気取らない性格なので、女性にも好かれています。
それなのに、恋愛に関してはいつもいまひとつ…。
本人も、「あたしこんなにキレイなのに。もっと一流の男と付き合えるはずなのに。」という気持ちがあるのでしょう。「あの人パッとしないのに、なんであんないい男と付き合ってるのかな。」っていう発言が多くて。
でも…
女のあたしから見ても、その理由がなんとなくわかります。
お店で支払いのとき、お金を投げ捨てるように出したり、
食べ方が汚かったり、クチャラーだったりと、気品がないんですよね。お行儀が悪い。
本当に残念な美人さんです……。
●十傳より→すなわち、こういうことを男は見逃しませんです。バカ男だとて見ておりますです。怖いのでありますよ、男というものは。
女も怖いですよー。
●十傳より→女の怖さはあたりまえ。免疫がついてますが、男の陰湿さはつきあってからしばらくしないと見えてこないのであります。
そういえば、中学の時、年下の一番人気の女子のジャージの袖口にナメクジの足跡のような光沢を発見した男子が、嬉しそうに騒いでいたことがありました。
その嬉しそうな顔ったら…彼は光沢の成分フェチだったのでしょう。
『ズズッと音をさせて』というのは確かにひっかかりますが…
一日に分泌させる鼻水の量は、おおよそ１リットルといわれています。
どんな人でも毎日、欠かさずゴックンしているわけです。
あら？ 「理屈じゃない…」でしたね。すみません理屈こねて。
鼻水の飲みこみについては寛容な慢性副鼻腔炎もちのあたしですが、
どうしても不快なのは食事の席での鼻カミです。
30代初頭、18,9のお嬢さんお坊ちゃん方と一緒に勉強をさせていただいた頃の話です。
昼食の時間にいきなり
“ズルズルズル～”と けたたましい 且つ、果てしない音が教室内に鳴り響きました。
もう、ビックリして箸を落としそうになりました。
〈食事中にあんなことをしたら母からはたかれただろうな〉
〈あたしの10代の頃だったら、男子の一人が「きったねーなー、便所でやれよ」と言っただろうな〉
などと想いながら室内見渡しました。…とても静かでした。
若者には当り前の光景のようでした。
この行為は、花粉症渦巻く彼女らの世代ではフツウになっているのだと思いました。
あれから１２年経ちましたが、今ではオジジ・オババまでもが飲食店で鼻をかんでいる始末。
〈美味しくいただこうと思っていたのに…しょぼん〉です。
どうか、御不浄で手当てしてから食事の席についてくださいませ、です。
と書き込んでみたものの、気になって調べましたら
欧州人の不快指数は【鼻水のみこみ（いつでもNG）＞鼻かみ（食事中OK）】とのことでした。
へぇー、でした。
●十傳より→たとえ欧米人がＯＫだとて鼻音はなりませぬ。以前、電車内で鼻汁飲みがクセになっている男に「鼻飲むなよ」と注意を与えたことがございますです。周囲も同意の沈黙。が、それがまたカンに触り「まさかオタク、チョーセン人じゃないだろうな」と付け加えましたらば、今度は批難の意味の沈黙でありました。