02.08
見てやってくださいまし。
これが、しやわせなのでありますです。
幸せと幸運とは違うのだと、机上の空論を放つよりも、この家族のぬくもりを眺めているだけでイイのであります。
茶髪の母ちゃんと、力仕事をしているような土臭い父ちゃん。二人は赤いほっぺたをした生後三ヶ月くらいの赤ちゃんを抱っこして、ピザをつつんだビニール袋を前に、なにを語らっているのでしょうか。
父ちゃんは浮気をするのでしょうか。
母ちゃんもやがては父ちゃんのことをダンナと呼んで毛ぎらうのでしょうか。
そして赤ちゃんも「このクソばばぁ!」などと不良になるのでありましょうか。
が、いいのです。
しやわせが、10年で潰えようと、一年ももたずにダメになろうと、一週間後にとんでもない事態に直面しようと、この今のしやわせが大切なのであります。
もし、占いというものが役に立つのであるとすれば、この、しやわせの寿命を一分でもイイから長く保つことなのでありましょう。
親も教員も政治家どもも知らない運命学という知識をフル回転させて、個人個人のしやわせを維持することが、もしかすると易者には可能にすることができるかもしれませぬ。
知り合いの占い師に「殺し屋」と呼ばれた人物がおりました。
殺しを依頼されるのであります。
たとえば親族間の骨肉の争いとかで、「叔父を殺してほしい」と頼まれ、二千万円くらいで引き受けたりするのであります。
奇門遁甲造作法を用いるわけでありますが、その資料を渡したのは私メでありました。
が、その占い師の消息は不明になっておりますです。
「こういう依頼は易者の人格を壊すね」
と、たしか10年ほど前に吐き捨てるように呟いたことを思い出しますです。
そのご何度か会いましたが、いつしか疎遠になったのでございます。
なにが正しいのか分からなくなっている時代であります。
しかし、この、しやわせ家族を通路を隔てたとなりで感じておりますと、わからなくなってしまっている正しいことが、じつにみずみずしく見えてくるのでありました。
などと麗しき感動をしていましたら、辻堂で降りぎわに、ふと振り返ったのでございます。
そしたらば茶髪母ちゃんの意味深な視線と絡み合ってしまいました…。
アーメン。
殺し屋かぁ…
得た知識を、しやわせのために活用することも、
人を不幸に陥れるために活用することもできるんですものね…。
でも、
殺される(?)叔父さまは不運だけど、それによって遺産を沢山ゲットできる依頼人は幸運になる…ということですよね。
しやわせかどうかは別として。
●十傳より→中国系のおひとならば悩むことはありますますです。が、易者の品格は、ここが大切なのでありますです。
初めてコメントさせていただきます。
日に幾度か、会社のパソコンから社長の眼を盗み
興味深く( 面白かったり 胸が痛かったり )拝見させていただいております。
本当にこのような何気ない1つ ひとつが 幸せな事なのでしょうね。
最近つくづくそう思うようになりましたが、時々忘れてしまいます。
この親子が15年後も、悪態を吐き合いながらも幸せでありますように。
●十傳より→はじめましてです。今後ともよろしくです。小さな幸せは、ほんとうは大きな価値があるのでありましょう。ダイヤモンドのように。
まさにDVなどは無縁の時代なのでしょうね。
●十傳より→自分にも若くてしやわせな時代があったのだというような伝説の時代なのでありましょう。
そう、だいたい子供が小学校高学年に頃から完全に変化してきます、そのころからの、しやわせ風景は不思議と、どのご家庭にも見たことがございません。
●十傳より→子供がいなければ、それはそれで殺風景でありますしね。しやわせなぬくもりは、ほんのつかの間なのかもしれませんです。