2013
06.29

離れられない! とでも言うかのように、松の木にカエデが巻き付いているのであります。
住民も、哀れと思ったのか、そのまま寄り添った形で残しているのであります。

いつかは別れなければならない関係がございます。そう考えているのは男だけかもしれませぬ。お女性は、このまま年老いても付き合いたいと思っているのかもしれませぬが、不安定な関係で特有のカンが働いて、
「別れようと思っているのね」と呟いたりいたします。
男は、慌てて「考えすぎだよ」などと誤魔化しますが、心を見通されて、すこし憤るのでございます。

お女性が、「この男と別れないと、人生が狂うかもしれない」とおののくケースもあるでありましょう。
「もう、逢わない方がいいと決めたの」と。

しかし、男女の愛欲は、そう簡単には切ることはできませぬ。
カラダと心の癖が、画像の木のように噛み合ってしまっては、別れよう、別れようとしても、逢わずにはいられないのであります。

実際に別れても、何年間も後ろばかりを振り向くのであります。

かかってくるかもしれないと淡い期待のために携帯の番号を変えることもできませぬ。

心のフォルダに、過去の恋を封印するのは、容易ではないのであります。

男は、別のお女性を、お女性も別の男と交わり、心とカラダの記憶をのこらず上書きしてくれる相手を求めるのでありますです。

「ああ、よかったあなたと会えて」
という言葉の背後には、苦しい愛欲の残骸をフォルダに封印した過去の歴史があるようであります。

時がたってから、とても可笑しくなって笑うことがあるでしょう。
たとえば祭りの日に、路上に落ちていた花を見た瞬間に。
「どうしたんだよ?」
亭主は尋ねるでしょうが、お女性はクスクスと笑うばかり。
心のフォルダが、すこし疼いただけだとは、本人も知らないはずであります。

  1. グッときました。

    ●十傳より→ちとヤバイ話題だったかもと思っておりましたです。

  2. 偶然同じような写真を昨日撮りました。驚きです。
    こちらは松×檜でした。

    ●十傳より→偶然見ただけでなく、撮ったっつうのは驚きのシンクロでありますですね。