2013
05.12

周囲の空気を、いっぺんに変えてしまう人物がいるものであります。

彼がまさにソレでありました。
電車に乗り込んで来た時から車内の人々は、どのようなリアクションをしていいのか、他人同士がおもわず目を合わせたのでございます。

リーゼントなりそこないのヘアースタイルは良いとして、クールズのような革ジャンと腰の鎖のストラップ、音楽を聞いておるのであります。足元がまたスゴイではありませぬか。

自分がどれほど人々に影響を与えているかなど無関心でひたすらスマホに見入っておりますです。
パンパンにはった腿は重量挙げでもしている成果なのでありましょうか。

豪傑漢でありますです。
漢は男という意味だから、漢字は漢時代に誕生したと言え、男の文字という意味だっけかなぁ、などと妙なことを思うのも、彼の存在感のタメでございますです。

ファッションで、そのお人の性格とか行動形態などを読み解くことが可能でありますが、彼の家族もまた、「あなたにピッタリよ」などと送り出したのでしょうか。
それとも、
「せいぜい笑いモノになるがイイわ」
と底意地わるい家族なのでしょうか。

あるいはひとり者なのか。

以前、20代前半の頃、二か月間ほどある会社に通ったことがございます。
真っ赤なネクタイを締めておりましたら、
ホームレスすれすれのオヤジが私の前に立ち、
「兄さん、いいよ、そのネクタイ。スターのようだよ」
と賞賛され、耳まで火照ったものでありましたが、
人の趣味趣向とは、想像の範囲を超えることが、多々あるものであります。

ふーむ。

毛皮のコートで、彼の横に座りたくなったのでありました。