2014
12.25

クリスマスは何事も起こらずに過ぎていくものであります。
12月という冬の扉を開くとクリスマスソングが流れて込むような心地よい錯覚に酔うのでありましょうが、そういう夢の時代はとっくに終わっており、けれど、周囲が賑わっているときに、こうやって人気の絶えた図書館に足を運ぶのも悪くはございませぬ。

そして出逢いとは、しばしばこういう場所で発生するものであります。一瞬にして殺風景な場所は濃縮した甘い光に包まれ、音のない音楽が二人の間にある空気をぬくもせたりもいたします。

が、現実はやはり違いますです。
「美味しいものを食べたい」
「バッグ買って!」
「プレゼントくれないの?」
という要求のメールがいくつか舞い込み、踏み潰すように消去することになるのでございます。

クリスマスの誘いは、ドタキャンを伴うことも心に入れておくべきでしょう。
つまりスペアとしてお女性に用いられることが多々あるからであります。
「ごめーん、急に具合が悪くなって」とか「やっぱりプレゼントはいいや」などのドタキャンメールが送られる危険性は50パーセント。

でも、心のかなりの領域で「ほっ」とするのも事実でございます。
ご馳走してプレゼントをして人混みを歩き回り、どこのラブホも満員で、ついに予定通りに逃げられるのがクリスマスとイブの男の定めなのであります。

12月24日、25日が過ぎると、急速に楽になるのであります。
つまりクリスマスは夢の重さに破れる日。

数年前までモテないお女性のボランティアをしてきましたが、もう止めておりますです。
クリスマスの夜はしずかに更けていくのでございます。