06.17
ひところ流行っていたМD。
このプレイヤーが姿を消しております。まるでМDそのものが存在しなかったよーに。
古いレコードやテープをCDにダビングする装置はあっても、МDは完全に忘却されているのであります。
もっともCD自体も、新しいクルマでは再生できない車種が増えていて、もっぱらスマホからが主流になりつつあるよーであります。
それにしてもМD、であります。
おもえば似たようなことが多くございます。忘れてしまっていたタレントや音楽。付き合っていたお女性の名前…いや、その存在すら記憶から消去されていることがございますです。
と、考えると、大切な何かを、もしかすると忘れてしまっているのではないかと頭を傾げてしまうのであります。
たとえば旅行中のエピソードなどは忘れていることが多いのであります。私メは克明にメモしておりまして、たとえば、
「モンレアーレの昼食はトッテリアなのだった。不味くはないが悪女の深情けのごとく、大量の料理なのである。アランチーニあとに噛んでも噛み切れぬオババ牛のフライが出てきて、その後に甘いケーキ。が、最初にタクアン臭くて飲めなかったワインが時間がたつと美味しくなっていた。二杯(ハウスワイン)飲むのだった」
メモしていなかったら完全に忘れるエピソードなのであります。
そう考えると一週間の朝中夕食のメニューを言えといわれても困るのであります。
先日、「心の旅路」という古い映画を観ましたが、記憶喪失のお話で、
「まさか、バカバカしい…」
結局は最後の感想が、コレでありました。
しかし、じつは日々、大量の記憶を振り捨てながら生きているのかもしれません。
呪術は占いの、ひとつの分野であります。
呪術と奇門遁甲が結びついた形跡は明らか。
いわれのない迫害を受けた時、しかし、じつは過去の出来事を呪っている相手が、
「復讐という名のスープは冷えたころが、いちばん美味しい」
と仕掛けているやもしれません。
過去を忘れ、しやわせを満喫する家庭に、しのびよる仕掛けられた呪術。
呪術の依頼を受けて、ふと思った次第であります。
МDはもう聞けないのだろうか…と。